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2016.01.30 22:01

D・トランプに学ぶメディア受けする5つの言動

過激な発言が日本でも物議をかもしたドナルド・トランプ氏。(Photo by Christopher Furlong/Getty Images)

過激な発言が日本でも物議をかもしたドナルド・トランプ氏。(Photo by Christopher Furlong/Getty Images)

米大統領選の共和党の候補指名争いで、ドナルド・トランプが一貫して優位を維持していることには、複雑な思いを抱く。政治記者たちは、人の気を引くことが目的のトランプの滑稽な言動には苦笑いするだけで、すぐに本来の注目すべき点──米国のリーダーを目指す候補者の知識や技能、人柄などに関する評価──に目を向けるようになると思われていた。
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だが、そのことはもはや問題ではない。

既存の報道機関は今、生き残りのための闘いにしのぎを削っている。自社サイトへのアクセス数を増やすことが、雇用の維持につながる。そのため多くの編集者たちが、ニュースの中でも最もセンセーショナルな話題を取り上げる以外に選択肢はないと感じるようになっている。

トランプの戦術がどれだけ不快なものであっても、新たな市場での新しい好機に目を付けたことについては、彼を正当に評価しなくてはならない。現在のメディアにかかる圧力には無関係だが、トランプは抜け目なく、それを自らの政治的な目的のためにうまく利用している。
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そんなトランプから、学べることがいくつかある。

1.決して落ち着きを失わない

ジャーナリストや対立候補に腹を立ててはいけない。テレビ番組のプロデューサーたちは、いら立った顔や不安げな顔が映った部分だけを抜き出し、その人の形勢が悪化したときに使おうとする。

トランプは、自分がほんの一瞬でも不安げな表情を見せれば、それがあっという間にソーシャルメディアで拡散されることをよく知っている。

2.サブリミナルなメッセージが重要

人間は社会的な生き物である。そして私たちは無意識のうちに、相手を評価している。私たちの脳は今でも、たき火を取り囲んで話を聞いていた石器時代のころと同じように互いに密接につながっており、意識下の合図に反応する。

誰かの声や身振りが自信に溢れていれば、私たちの脳にはその人に対する信頼感が組み込まれ、好意的な目を向けるようになる。

3.まず大切なのは、中身より「伝え方」

意味あるメッセージを伝えようとすることは重要だが、メディアの注目を集められなければ意味がない。最近では、プロデューサーにニュースを売り込む際にも、威勢の良いキャッチフレーズが重要視されている。

話を聞いてもらえる機会を得たら、どんな言葉で何を伝えたいのか、メッセージを的確に伝えるため準備を整えておくことだ。

4.枝葉末節にとらわれない

期待されているのは、短く簡潔な答えだ。質問を予測して、納得を得られる、あるいは役に立つ回答を準備しておくこと。

5.ソーセージづくりを手伝う

日々ニュースを伝えることを、ソーセージ作りに例えた人がいる。手に入るものを何でも放り込んでクランクを回し、どんどん押し出してソーセージを作っていく。ジャーナリストたちには、割り当てられた時間に視聴率を得られるニュースを伝えなくてはならないというプレッシャーがかかっている。トランプはこのことをよく理解している。

トランプのように話すコツ
・伝えたいことの要点を3つ挙げ、箇条書きにしておく。言いたいことを的確に伝えるのに役立つ。
・質問に答えるときは、くどくどと話さず、簡単明瞭に回答する。
・伝えたいことを一言でまとめて締めくくれるよう、パンチの効いた言葉、気の利いた言葉準備しておく。

ジャーナリズムが作り変えられようとしている今、「クリックベイト」が支配する世界で勝ち抜くことができるのは、最も明確かつ簡潔なメッセージだけだ。

ただし、経営者の皆さんには、トランプの言動をまねることは勧められない。きっと会社の信用を失墜させてしまうだろう

編集 = 木内涼子

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