介護者の苦労を軽減する尿意センサー

トリプル・ダブリュー・ジャパン社長の中西敦士氏。中西社長の左手上にある下半身モデルの白い装置が「DFree」。超音波で尿意の兆候を察知してスマホに伝える。 / 写真=岡田晃奈


施設の都合でおむつを付けられているケースも少なくない。大人用のおむつ市場は、すでに乳幼児用を上回る1,800億円規模になっていることも開発を後押しした。

大人用のおむつ費用を削減でき、介助する人の負担を軽減できる。そして何よりも患者さんの尊厳と生活の質を守れる。「介護の現場では、管理側の都合でおむつをさせられているケースが少なくありません。そうした方々をDFreeでまさに解放してさしあげたい」。その志に、支援者も多く集まった。

「クラウドファンディング」で訴えたところ、345人の人たちから計1,266万円の資金が提供された。出資するベンチャーキャピタルも現れた。また、大手企業から提携の依頼もあり共同開発が決まっている。16年から17年にかけて米国と中国の巨大市場に参入する計画だ。

「今後は、超音波技術をベースに、食欲や生理現象、寿命などあらゆる生体の変化を予測して不測の事態による不幸をなくす、多くの人が最期まで納得した人生を送れる世界にしたいと思っています」

中西敦士◎トリプル・ダブリュー・ジャパン社長。1983年生まれ。

文=船木春仁

この記事は 「Forbes JAPAN No.19 2016年2月号(2015/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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