ビットコイン関連のスタートアップ企業に積極的に投資をしているDCGでは、2年前からCoinDeskに出資していた。「同社がメディアとして成長し、業界随一の情報源としての地位を固める様子をつぶさに見てきた。また、調査事業やイベント事業などの新規分野でも素晴らしい仕事をしている」と高く評価しているのは、DCGのディレクター・オブ・グロース、Ryan Selkisだ。2015年には、大手金融機関のCiti VenturesがCoinDesk主催のカンファレンス”Consensus”のスポンサーになっている。
DCG傘下に入ったCoinDeskを率いることになるセルキスは、今回の買収の目的を「デジタル通貨やブロックチェーン技術の一般的な認知度を高めていくというDCGの事業戦略に沿ったものである」と語っている。
CoinDeskのCEO、Jeremy Boneyは「ブロックチェーン技術関連情報への需要の高まりを受けて、当社では高品質で中立なジャーナリズムを求める読者の期待に応えるべく、新たな資金と人材を獲得することにした」と語っている。
CoinDeskでは今後も引き続き、次の3つの事業を行っていく。(1)仮想通貨やブロックチェーン技術に関する業界誌の発行、(2)ビットライセンス(ニューヨーク州のデジタル通貨ビジネスの許認可規則)、クリプトカレンシー2.0、銀行とブロックチェーン技術といったテーマに関する調査研究の実施、(3)カンファレンス”Consensus”の主催。なお、このカンファレンスは、2015年には、ウォールストリートの大手企業を中心に600名以上が出席している。CoinDeskではさらに、”ビットコイン価格インデックス”などのビットコイン関連データや、各種チュートリアルも提供している。
CoinDeskの主な収入源は、広告、調査研究報告書の売上(季刊の”State of Bitcoin”など無料の報告書もある)、およびイベント入場料だ。
CoinDeskの編集の独立性を保つため、同社はDCGとは別の建物に入居することとなる。また、これまでDCGで20件以上の投資案件に関わってきたセルキスは、約60社のDCG関連企業の事業活動や投資活動から身を引く。さらに、関連企業について報じる際には、CoinDeskの親会社の投資先である旨を明記する方針だ。
「今回の買収で最初に検討したことが、編集の独立性だった。このため私は投資をためらっていたが、きちんとした運用方針ができあがったので、買収に踏み切ることができた」とセルキスは語っている。「編集の独立性を維持することはおそらく、CoinDeskのブランドを守るために最も重要なことだった。これでみなさんには、当社が特定のメッセージを混ぜたり、今や業界内で幅広いネットワークを持つDCG関連企業に有利な報道をして、自らブランドを棄損するようなことはないと納得いただけるだろう」