仏ファッション・サイトが国外進出へ 米政府の支援獲得

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良いアイデアを持ったリーダーたちが成功を収めるためには必ずと言っていいほど、リーダーの断固たる決意、信念、そして誰かの支援が必要だ。在仏米国商工会議所(AmCham France)は先ごろ、グローバルな事業展開を目指すフランスの新興企業を対象としたコンペティションを実施。支援対象とする企業を選出した。

新興企業の支援を目的としたコンペティション、「NextGen Global Growth Launchpad Pitch Competition」で優勝したのは、タチアナ・ジャマ率いる「Selectionnist.com」(セレクショニスト・ドットコム)。獲得する賞金から「利益を生み出す可能性が最も高い」スタートアップに選ばれた。米商務省の対米投資誘致プログラム「セレクトUSA」からの支援に加え、ジャマには米国への往復航空券、テック関連企業が集中する米国内の3地域のうちいずれかにあるオフィス、進出から6カ月にわたる無償の法的サービスが提供される。さらに、ネットワーク構築にも協力を得るほか、在仏米国商工会議所などへの入会、マンハッタンで開催される展示会にも出展の機会などが与えられる。

NextGenの共同議長であるデジタルマーケティング・コンサルタント「StringerCan Interactive」のジェイソン・マクドナルド取締役は同社を選んだ理由について、「米国市場への進出の準備がすでに整っている」「基盤を築き、事業を拡大する準備ができている」などと説明した。

Selectionnist.comのビジネス

2013年にパリで創業した同社は、すべてのメディアに掲出される広告から利益を得る業態を創出したプロトタイプとして、歴史に名を残すだろう。ジャマらは高級ブランド各社から料金を徴収、世界的なファッション誌などと提携し、消費者が見つけた商品がどこで入手可能かを調べ出し、購入できるようにするプラットフォームを確立した。消費者は欲しい商品の写真を撮ってSelectionnist.comに送信すると、各ブランドから得た情報を蓄積した同社のデータベースからその商品を探し出し、購入方法を調べることができる。ただし、写真は屋外広告や印刷広告、カタログ、ネット上に掲載されたものなど、すでにメディアで紹介されているものでなくてはならない。

受賞を受けてジャマは、「世界中のどこからでも、あらゆる画像と写真をネット上での経験に結び付けることができる」「以前は雑誌で何か気に入ったものを見つけても、破り取ったページを手に街中を探し回る以外に、それを手に入れる方法はなかった。今はそのページの写真を撮って私たちのデータベースと照会するだけで、購入することができる…当社の顧客企業は、消費者が印刷広告やインターネットなど、どこから自社の製品を見つけ、購入しているかを把握することができる」などと語った。

同社の顧客であるブランド各社は、このプラットフォームを通じて問い合わせをした消費者にメッセージ (割引クーポンや製品の使用方法を説明する機会の提供などについて) を送ることが可能だ。同社は現在、すでに30誌ほどと提携しており、約150人が同サイトを頻繁に利用している。

起業に関連するフランスの法律や税制は改正が行われているものの、その動きは緩慢だ。エンジェル投資家やベンチャーキャピタルが少ないことも、頭脳流出を招いている。在仏米国商工会議所のアラン・ベニシュ会頭は、(起業家を指す英語の)「entrepreneur」はもともとフランス語だということを忘れてはならない、と指摘している。

今回のコンペティションには、50人を超える起業家が参加。以下8社が、最終選考に残る4社の候補に選ばれた。

・ECHY
・Braineet
・OpenDataSoft
・Comet App
・Photonomie
・Smart Me Up
・Dolead
・Selectionnist

編集 = 木内涼子

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