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金融の善悪、不穏について執筆

Photo by Yunus Kaymaz/Anadolu Agency/Getty Images

世界最大のヘッジファンドを率いてきた富豪のジョージ・ソロスには、政治と世界経済のいずれについても言いたいことが山ほどある。1992年にイングランド銀行を「破たん」させ、巨額の利益を得た人物として知られるソロスは事実上、すでに引退している。だが、将来の見通しに関するその発言は依然として、市場を動かす力を持っている。

出席中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で1月21日、テレビ局のインタビューに応えたソロスは、米大統領選の共和党の候補者指名争いでトップを走るドナルド・トランプについて、移民に関する辛らつな発言を繰り返すことで「イスラム国(IS)のための仕事をしている」と非難。同じく共和党の大統領候補に名乗りを挙げているテッド・クルーズらについても、同様に批判した。さらに、2016年の大統領選は、民主党ヒラリー・クリントンが地滑り的な勝利を収めるだろうと予想した。

(ソロスとトランプはいずれも米国人長者リスト「Forbes 400」に名を連ねる。昨年のランキングではソロスが保有資産245億ドル(約2.9兆円)で16位、トランプが同44億ドルで121位だった)

ソロスは米国がイスラム教徒の移民(難民)の受け入れを拒否すれば、「イスラム社会に対し、彼らにはテロ以外の選択肢はないと確信させてしまう可能性がある」と警告。ISについては、イラク、シリア両国政府によるIS支配地域の解放が進むとして、「余命いくばくもない」と述べた。

一方、ISの台頭と崩壊しつつある中東が欧州に危機を招いたとの考えを示し、ドイツのメルケル首相が難民の受け入れ拡大を決断したことについては、判断を誤ったかもしれないと指摘した。「首相は自らの政治的資本を危険にさらし、そして失った」との見方だ。ただし、ドイツとその他欧州各国は今後、難民をうまく受け入れていけるとして、今後については楽観的な見解を示した。

ソロスはナチス占領下のハンガリーから亡命し、10代のころには英国で教育を受けた。そして、1950年代にはニューヨークに渡ってF.M.メイヤー証券と投資会社ワートハイム & コー(Wertheim & Co)に勤務、投資家としてのキャリアをスタートさせた。インタビューではこうした自身の過去を振り返り、「私は15年間、移民として暮らした」と語ると共に、「当時の方が、移民が適切な扱いを受けていた」、「少し指導的な立場になった今、国を持たない人たちに真心を尽くしたい」などと心情を吐露した。

欧州・中国経済の見通しに言及


米国の政治プロセスと地政学に関するソロスの考え方は、党派的だと片付けられることも多い。確かに民主党に影響力を持つ実力者であり、リベラル派の候補や主張を支援している。だが、そうした政治的立場に関わらず、世界経済や各国の中央銀行、投資に関するソロスの読みは、必ず耳を傾けるべき意見だとして注視されている。

ソロスは欧州連合(EU)加盟各国の経済について、中央銀行の金融刺激策が奏功する可能性があるとみている。デフレと景気後退の脅威はマリオ・ドラギ欧州中銀(ECB)総裁に、新たな金融緩和策の実施に踏み切る根拠を与えているという。

一方、中国経済については、崩壊はあり得ないとしながらも、ハードランディングの可能性があると述べた。世界経済のけん引役であり続けるほどの経済成長は、今後は期待できないとの見方だ。

編集 = 木内涼子

 

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