スタートアップ投資は急減速する? 米著名VC担当らが激論 Vol. 1

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今年に入り、テック企業の株価が低迷している。IPO当時の株価からBoxは約30%、GoProは40%以上下回っている。ジャック・ドーシーが創業したスクエアとツイッターの株価はいずれも20%ほど下落し、大手のアップルやグーグルの親会社アルファベットの株価も8%ほど値を下げている。

未上場のテック企業やスタートアップにとって気がかりなのは、景気減速がベンチャーキャピタル(VC)の投資にも影響を及ぼすことだ。データ上はまだそのような動きは見て取れないが、ベテラン投資家たちはゲームの流れが変わったと忠告し始めている。

2015年はスタートアップやレイトステージ企業に大量の資金が投じられた。企業情報データベースのCB Insightsによると、世界のVCの投資額は1285億ドル(約15兆円)に達し、2014年に比べて44%増えている。このうち、724億ドルはアメリカ国内の実績だ。しかし、CB InsightsのCEOであるAnand Sanwalは「巨額の投資が実施されたが、尻すぼみに終わった年だった」と表現している。

尻すぼみと言うのは、2015年後半に投資件数が大幅に減少したことを指している2016年に資金調達を目指すスタートアップにとっては、タイミングを逸したと言えるかもしれない。CB Insightsの年次レポートによると、2015年第4四半期の全世界での投資件数は過去3年で最低レベルだった。米国内の投資額は、2014年第3四半期以来最も少なく、アジアでの投資額も前四半期に比べて32%減少した。第4四半期に評価額が10億ドルに達したスタートアップの数は12社で、1-9月の60社から大幅に減少した。
「資金を調達したいなら、ペダルを踏んで急ぐべきだ」とSanwalは言う。

減少しているのは主にレイトステージ企業に対する投資だ。The Midas list(最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング)の常連であるFirst RoundのJosh Kopelmanは、「評価額が数百万ドルから十億ドル以上のスタートアップで特に減少が顕著だった」と話す。野心的な成長プランを掲げて多額の現金を消費するスタートアップが、投資家から歓迎されなくなっている点が、これまでの状況と異なるという。

それでも、ウーバーやAirbnbのようなスケールであれば巨額の資金を調達することも可能だろう。そうでなければ、投資家を説得できるだけの明確な事業計画を示すことが必要だ。「レイトステージ企業には、前提条件を見直すことを推奨している」とKopelmanは話している。

以下、Vol. 2に続く。

編集=上田裕資

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