このスクーターを開発するのはマヒンドラの100%子会社のGenZeだ。シートの下にある1.6-kWhのバッテリーは取り外し可能で、自宅でもオフィスでも標準的なコンセントがあれば充電できる。フル充電すれば30マイル(約48キロ)の距離を走行でき、スピードは最大時速30マイル出る。さらにAT&Tのネットワークにつながった3Gモデムでクラウドにつながっており、スマホのアプリでスクーターのコンディションや場所を確認できる。価格は3,000ドル(約35万円)だ。
アメリカはスクーターが良く売れる国ではないが、混雑する都市部における交通の進化の一端を担いたいという思いで開発された。「都市部では必ずしもスピードが出る乗り物が求められているわけではない」とVish Palekar社長が先週のインタビューで語った。「求められているのは効率的で持続可能な移動手段だ。そこからGenZeのスクーターが生まれた」
「電動バイクを作りたかったが、インドは電気代が高いので違うという話になった。だが、インド以外では需要が高い」と語ったのは億万長者でもあるマヒンドラのAnand Mahindra会長だ。
「全世界をターゲットにするなら、設計から始めて最初に売り出すのはどこがいいのか。それはアメリカだという結論に至った。アメリカはiPhoneが生まれた国だ。フランク・シナトラの歌にあるように、ここで成功できればどこでも成功できるという考え方だ」
GenZeは2012年にカリフォルニア州パロアルトで創設された。現在は同州フレモントにあるテスラの工場の斜め向かいに拠点を移した。従業員数は65名。スクーターは昨年12月から出荷を開始し、今後数か月で予約注文を受けた500台以上のスクーターを納品し終えるとPalekar社長は言う。
GenZeはいつか、同じく都市部を見据えた電気スクーターを作っている台湾のスタートアップGogoroと競争することになるかもしれない。HTCの元幹部らが設立したGogoroのスクーターはよりハイエンドな製品で、最近では自宅用の充電ステーションも発表した。
現在は自動車産業とテック産業が移動手段の未来を方向付けようと躍起になっている時期だ。GenZeはテクノロジー系企業の人材争奪合戦のさなかにある。Palekar社長は、同社とアップルが社員を引き抜きあっていると言う。
「他と異なることをする場合には人材がすべてだ。そういった人材は新社会人には少ない。重要なのは経験と良いアイデアの融合だ」
同社はテスラのほか、中国人富豪の賈躍亭(ジア・ユエティン)がバックアップするファラデーなどとも競争しているという。
「人口の密集する都市部はソリューションを必要としている。自動車に完全にとって代わるものを作るのは不可能だが、サンフランシスコの自動車が10%減れば、渋滞が45%緩和される。我々が目指しているのはそこなのだ」