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2016.01.25 10:01

企業の成長をサポートする未来を拓けるオフィスがいい

[左]川原邦章 フロンティアコンサルティング 代表取締役、[右]稲田晋司 フロンティアコンサルティング デザインリーダー / photograph by Takanori Fujishiro

従来のキャリアモデルが過去のものとなり、『多様な働き方』が求められる昨今、オフィスの在り方もまた新たな形が問われている。業務効率の向上、コストの削減、コミュニケーションの活性化、そして優れた人材の獲得。クライアントとなる企業の経営課題に向き合い、共に素晴らしい未来を切り拓いていくためのオフィスづくりを提案する、フロンティアコンサルティングの挑戦を追った。

日本国内でもにわかに注目を集め始めているリモートワーク。社員は会社という“場”に制約されず、その時々の仕事の状況に応じて柔軟な働き方を選択できる。「働き方変革」を推進するリクルートホールディングスが、多様な働き方の選択肢を増やすために導入を決めたことでも話題となった。同社がそのオフィスづくりのためにパートナーシップを結んでいる会社こそ、2007年に設立されたフロンティアコンサルティングである。

代表取締役の川原邦章は、このプロジェクトを成功させるには、メリットだけに着目するのではなく、想定される課題をクライアントと共有することが大切だと述べる。「リモートワークを導入したことで、オフィスの機能も変化します。その変化は、リクルートで働く社員の皆さんのパフォーマンスを高めるものにならなければなりません」

フロンティアコンサルティングはオフィスの仲介、設計、施工、デザインから家具の選定、通信インフラ整備まで、トータルにサービスを行うオフィスコンサルティングの会社である。創業時は、顧客数ゼロからのスタートだったが、わずか8年でクライアント数は3000を超え、横浜、名古屋、大阪、福岡など大都市に支社を持つまでに成長している。大企業だけでなく、ベンチャー企業や中小企業が海外で事業展開する時代の到来を早くから確信し、ベトナムや中国にも進出。現在、社員数は150人を超え、売上高は創業年と比べると、約10倍の伸び率を示す。快進撃を続ける要因を、川原はこう分析する。

「サラリーマン時代の私は、オフィス家具の販売を主に行っていました。取引先の社員の方と触れ合ううちに、多くのアイデアが生まれてきたんです。『働き方』という見過ごしがちな部分を深掘りしていくと、その企業の個性が見えてきます。会社を創業したのは、クライアントさんの企業風土や文化に配慮したオフィスづくりで総合的にサポートしたいと考えたからです。クライアントさんの発展があってこそ、我々も成長できるのだという、確かなビジョンがありました」

同社ではクライアントの描くイメージを把握するため、徹底的にヒアリングを重ねる。創業時に掲げた『日本一お客様を大切にする』という理念はリピート率60%という結果となって表れている。デザインリーダーの稲田晋司は、『いいオフィス』づくりが『いい未来』を創造すると信じているので、モチベーションも上がるのだと言う。

「例えばデザインというのはオフィスの中のひとつの機能にすぎません。そこにこだわると、軸がないオフィスになってしまうケースもあるんです。企業の目標はそれぞれ違います。売り上げを伸ばすことを成長と考える会社もあれば、インフラを充実させることや有能な人材を獲得することを優先する会社もあります。クライアントさんの目指す未来にはどのような課題があり、それを解決するためにはどうすればいいかを見つけることが、素晴らしいオフィスづくりへの第一歩だと思っているんです」

リクルートホールディングスとの新たな挑戦にも、稲田は強い意欲を見せる。「リモートワークの導入によって、固定席はだいぶ減りました。その分、フリーアドレスエリアにはさまざまなアイデアを盛り込んでいます。無造作に机や椅子を置くのではなく、シーンに応じて選べる多様なデザインやタイプの家具を選んだりしました。和気あいあいと過ごせるワークスペースや、いずれは知識を共有する場所としても活用できるライブラリーキッチンも用意しました。日本人は人間関係を大切にします。コミュニケーションは組織の基盤になるといってもいいでしょう。リモートワークで動いている社員の皆さんが健康な体と健全な精神を軸に活躍できるオフィスづくりを、今後さらに提案していきます」

リクルートホールディングスでは、この“働き方を選べる”オフィスを大いに歓迎しているという。同社の「働き方変革プロジェクト」を担当する馬立純一は、「フロンティアさんには当社の思いをくみ取り、納得いくまでお付き合いいただきました。これからも一層、連携を強化することで、さらに魅力的で働きやすいオフィスにしていきます」と、信頼を寄せる。

川原もまた、リクルートホールディングスとの仕事に大きな可能性を見いだしている。「運用していくことで見えてくる課題もあります。その課題を克服していくことで、オフィスの機能を進化させ、新たな価値を創造していきます」


川原邦章
かわはら・くにゆき◎1973年生まれ、千葉県出身。オフィスの設計会社で営業部門の執行役員として8年半勤務した後、2007年にフロンティアコンサルティングを設立。代表取締役として現在に至る。

稲田晋司
いねだ・しんじ◎1980年、東京都生まれ。計画系の建築設計事務所を経て、オフィスの設計業界へ。フロンティアコンサルティング入社と同時期に一級建築士を取得。設計デザイン部、執行役員。


リクルートホールディングスとの「働き方変革プロジェクト」への取り組み
リモートワークと連動しつつ、社員の出社時の生産性を最大化するために、五感に訴え、感性を刺激する空間を創造。「コミュニケーションの活性化」「ニーズに合わせた機能性」「身心の健康」という3つの課題へのソリューションを提案している。

[左上]ワークスペースでは、リクルートの企業理念の「FOLLOW YOUR HEART」の文字が出迎える。
[右上]フリーアドレスエリアではシーンに応じて、場所やデスクの形状を自由に選択ができる。
[左下]開放的かつ回遊性を持たせた空間では、往来とともに部署間のコミュニケーションが生まれる。
[右下]人気のブース席。半閉鎖型のスペースは、ミーティングから作業場まで多目的に利用される。

フロンティアコンサルティング
http://www.frontierconsul.net/

文=Hiroshi Shinohara 編集=Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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