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Photo by David Becker/Getty Images

近年、家電関連の展示会ではネットにつながる“スマート冷蔵庫”が注目の的になっている。皮切りとなったのは、2000年にLGが発売したDigital DIOS。売り上げはお粗末だったが、それにより“インテリな冷蔵庫”という言葉が生まれ、大手メーカーが続々とあとに続いた。

2010年には、パナソニックが利用者の生活に合わせて自動で節電する冷蔵庫を発売。他メーカーらからはWi-Fiを搭載したモデルが続いた。サムスン電子は今年に入り、足りない食材を冷蔵庫から直接注文したり、消費期限を管理できる機能を搭載したモデルを発表。そのメーカー希望小売価格は5,000ドル(約60万円)となっている。

しかし、すごい家電だと見なされながらも、スマート冷蔵庫には目新しい機能がほとんどないというのも事実だ。レシピが必要ならいつでもスマホで調べられるし、食材が足りないときはわざわざ冷蔵庫から注文しなくてもスーパーに行って買えば事足りる。腐っているかいないかは、臭いで確かめればいい。ではなぜ、各社はこれほどまでにスマート冷蔵庫に力を入れるのだろうか。鍵を握るのは冷蔵庫の消費電力だ。

冷蔵庫というものは、ユーザーが工夫して節電しようと思ってもそう簡単にできるものではない。使い始めたら一年中、昼夜問わず運転させておかなくてはいけないからだ。実際に、冷蔵庫とそれに関連する家電の消費電力は、家庭全体の30%を占めると言われる。たしかに昔と比べると最近の冷蔵庫はかなり節電できるようになり、1980年に平均で毎時1,278キロワットの電力を消費していたのが、今では毎時たった498キロワットになった。しかし、2台以上の冷蔵庫を保有する家庭は、1978年には14%だったのに対し、今では30%以上に増加。そのうち1台は、一方より古く機能性も低いものであるから、結果、冷蔵庫が家庭の消費電力に占める割合は相対的に高いままなのだ。

電気使用を自動で制御できるシステムを導入したと仮定してみよう。夏場の節電を呼びかける電気会社が、特定の時間帯に冷蔵庫の一部機能を使わないことを条件に、各家庭に毎月5ドルをキャッシュバックするとしたらどのような効果があるだろうか。自動制御システムを設定することで、利用者は冷凍庫の中身の心配をすることもなく5ドルを受けることができるし、一方の電力会社も電力不足のための新たな設備投資を抑えることができる。結果として、双方にメリットが生まれることになる。

実際、米ペンシルバニア州に本社を置く倉庫・流通大手のGreat Lakes Cold Storageは、使用する冷蔵庫や冷凍庫に省エネルギー制御システムを導入し、年間250,000ドル(約3,000万円)の費用削減につなげているという。

このような“スマート化”の流れは、家電業界全体に見ることができる。例えばNestのサーモスタット(自動温度調整器)は、単に家庭の電力消費を抑えるだけでなく、電力会社がNestを遠隔操作して家庭の電力利用量をコントロールし、その引き換えにユーザーはキャッシュバックを受け取ることができる。これらのスマート家電はハッカーの標的になり得るというリスクもあるが、そうした安全面は今後十分に解決可能だと言える。

要するに、スマート冷蔵庫がすごいのは最先端の機能やサービスを提供しているからではない。ユーザーの頭を悩ますことも、手を煩わせることもなく、節電対策など煩雑なこと代わりに引き受けてくれるから、スマートなのだ。

編集=Forbes JAPAN編集部

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