落日のフォースクエア、CEOが辞任 評価額も半値に下落

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フォースクエアは1月14日、CEOのデニス・クロウリーが退任し、2014年にCOOとして同社に参画したジェフ・グルエックが新CEOに昇格する人事を発表した。クロウリーは会長職に就き、今後は広告事業と法人向けサービスを牽引するという。

ニューヨークに本拠を置くフォースクエアは、シリーズEラウンドで4500万ドル(約53億円)を調達したことも明らかにした。ニューヨーク・タイムズが情報筋の話として報じたところによると、今回の評価額は、2013年に実施した前回ラウンドでの評価額6億5000万ドルの半額程度だったという。ダウンラウンドを余儀なくされたことから、リリースして7年になる位置情報共有アプリがマネタイズに苦戦している状況がうかがえる。同社のダウンラウンドに関しては、Re/code とテッククランチが最初に報じている。

クロウリーは「CEOの交代は以前から検討してきたことで、自身が長期戦略の策定やコンシューマ向けプロダクトの開発に専念するためだ」とブログサービスMediumに投稿している。新CEOのグルエックはこれまでにモバイルソフトウェア企業のSkyfire LabsのCEOを務め、2002年にTravelocityに買収された旅行サイト、Site59.comの共同創業者でもある。フォースクエアは、最高売上責任者のスティーブン・ローゼンブラットが社長に就任することも明らかにした。

「我々の事業は成熟し、法人向けソリューション(Places APIやPlace Insights)やプログラマティック広告プラットフォーム(Pinpoint)が我々の売上成長を牽引している。こうした中、今こそ社内で最も有能な幹部を経営トップにするべきだと考えた」とクロウリーはMedium投稿の中で述べている。

「私はCOOのジェフ・グルエックにCEO就任をお願いし、CROのスティーブン・ローゼンブラットに社長に指名した。スティーブンには、ジェフの副操縦士の役割を果たしてもらう。ジェフとスティーブンはこれまで新サービスの開発や強いチームの構築に携わり、今のフォースクエアを作り上げるのに多大な貢献をしてくれた」

フォースクエアは新たに調達した資金を、位置情報を利用した広告商品の開発と、消費者行動をツイッターやピンタレストなどの開発者に提供する事業の立ち上げに使うとしている。また、営業人員やエンジニアを30名採用する費用にも充当するという。今回の投資ラウンドを主導したのはUnion Square Venturesで、他にはモルガンスタンレーやAlternative Investment Partners、既存株主のDFJ Growth、Andreessen Horowitz、Spark Capitalが参加している。フォースクエアはこれまでに総額1億6000万ドル(約187億円)を調達しており、約200名の従業員を抱えている。

フォースクエアは店舗などにチェックインするゲームとして2009年にリリースされたが、フェイスブックなど他のSNSが独自のチェックインツールを提供し始めたため、次第に位置情報サービスへと変化していった。その後、フォースクエアはチェックイン専用の「スウォーム」と飲食店などのクチコミ情報を提供する「フォースクエア」の2種類のアプリに分かれた。フォースクエアによると、現在のMAUは5000万人を超え、一日当たりのチェックイン件数は過去最高を記録しているという。登録されているスポットは6500万件以上で、ユーザーがこれらの場所に立ち寄るとアプリが認識するという。

「消費者にとっても、アプリ開発者にとっても必要なサービスでフォースクエアにしか生み出せないものが世の中には沢山あるはずだ」とクロウリーは言う。「私の新しい仕事は、それらのサービスを作るプロジェクトを指揮し、本当にベストなものを選択して世に送り出すことだ」

編集=上田裕資

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