投資会社フィデリティはこのほど、退職後のための準備状況をインターネット上で判定できるサイトを開設した。所得が同じ他の人たちと比べ、自分の準備がどの程度進んでいるかをA~Cの判定で評価することができる。
これに合わせて同社が発表した退職後向けの貯蓄に関する最新の調査結果によると、「B」または「C」と判定された米国の世帯は調査対象の半数を超えた。これらの人たちは、現状のままでは退職までに、その後の生活に必要な最小限の蓄えを用意できないということだ。ただ、同社によれば隔年で行っているこの調査では、前回2013年の結果では平均が「C-」判定にあたる69点だったことから、全体としての状況には改善がみられる。今回の平均は76点だった。
また、良いニュースといえるのは、今回は調査対象世帯の45%が「A」判定の「グリーンゾーン」に入ったことだ。このうち27%は得点が95以上で、A判定の中でも特に良好な準備状況にある。旅行や娯楽など自由に使える資金を含め、退職後に必要な資金をほぼ完全に準備することが可能な状況だ。残る18%は得点が80~95で、自由に使える資金は不足するものの、必要最低限の資金は退職までに蓄えることができる見込みだ。
一方、調査対象の55%は得点が65以下の「C」判定で、「レッドゾーン」に入った。これらの人たちは、退職後に希望する生活スタイルに中程度または大幅な見直しが必要だ。当然ながら、支出を減らして貯蓄額を増やさなくてはならない。
全体として前回調査に比べ改善がみられたのは、あらゆる年齢層において貯蓄額が増加したことが大きく影響しているという。今後必要となる対策は、年齢に応じて資産の構成割合を変えていくことだ。ただし、年齢が高くなってから積極投資型に転換すれば実際には準備状況を悪化させる可能性もあり、どのように構成を変えるべきかについては、常に明確な基準があるわけではない。
フィデリティのサイトでは、年齢や退職後に向けて準備したい貯蓄額、すでに貯蓄している金額、毎月の貯蓄額、投資スタイルなど、いくつかの簡単な質問に答えるだけでスコアを算出することができる。ただ、死亡年齢は93歳(65歳で健康な人の25%は93歳まで生きる)、社会保障給付金の受給資格がある、給与が毎年1.5%ずつ増加するなど、判定結果はいくつもの仮定に基づいたものとなっている。