適用期間が限定されたサンセット条項を含むイランとの核合意は、同国への制裁を大幅に解除するものであり、欧米の技術支援によるウラン濃縮を認めるものだ。公式にではないが実質的に、これはイランに核爆弾開発への道を開くものにほかならない。できれば、来年1月にオバマ大統領が退任するまでは実現せずにいてほしいものだ。
イランとの合意に喜ぶオバマは、これが北朝鮮との核問題に関する合意のモデルになればと願っている。オバマは昨年10月、金第一書記がすべきことは、自身がイランと同様に、本気で核兵器開発を放棄する意思があることを明示することだけだと発言。そうなれば、「我々は北朝鮮との対話を行うことになると言ってもいいだろう」と述べた。ケリー国務長官も繰り返し、北朝鮮に対して同じメッセージを送っている。
北朝鮮の主要な支援国である中国は、核実験を非難している。報道によれば、北朝鮮に対して非常に腹を立てているという。ただし、どうしたわけか中国はこれまで、北朝鮮への供給を抑制し、新たな実験を思いとどまらせるほどに腹を立てたことはない。
今となっては、北朝鮮の核爆弾が実験用トンネルから出たことはまだないのだから、今後も出ないだろうと願いたくなる。あるいは、そのことを理論的に説明しようとさえしたくなる。だが、それは危険な考え方だ。
大きな疑問点は、北朝鮮が6日に実験の実施を発表したのは本当に水爆だったのか、それとも原爆だったのかということだ。だが、そこにはさらに、北朝鮮がこの実験結果をイランや中東に売り渡すかもしれないという憂慮すべき可能性もある。
オバマ大統領は待ち続け、語りかけ、そして自らを窮地に追い込んだ。今回の実験は、北朝鮮が交渉のテーブルに戻ることを目的とした金第一書記の先制攻撃かもしれない。水爆であれ原爆であれ、核爆弾の実験は北朝鮮にとって、格好の交渉の切り札となる。
しかし、北朝鮮の核問題については、どのような合意も解決にはつながらない。経済制裁も、北朝鮮の悪意ある行動の一部を阻止することにはなっても、核開発計画の放棄につながる兆しはみせてはいない。そして、重武装した北朝鮮との真っ向からの武力衝突も、魅力的な代替案とは考えられない。韓国と接する北朝鮮は、化学兵器も製造しているのだ。
唯一の現実的な解決策は、金政権を打倒するための方法を積極的に模索し、その実現に全力を尽くすことだ。これは非常に高い危険を伴い、米軍最高司令官の堅い決意と、その全面的な支持を必要とする。
3代の米大統領が20年以上にわたり、無責任な核合意と「戦略的忍耐」によって時間と機会を無駄にしてきた今、最終的に数百万の命を奪う可能性があるならず者政権の生き残りを国際社会に例示し、金政権を存続させることの危険性は、一層高まっている。