その18分後、ザッカーバーグはこう答えた。「彼女たち自身がギークになったほうがいいと思いますよ。きっと発明家として成功するはずです」
このコメントはまたたく間に拡散し3万以上の「いいね」を獲得した。若い女性たちにIT分野でのキャリアを追求することを奨励したとして、メディアからも賞賛された。
だが、ザッカーバーグの発言とはうらはらに、IT企業での女性活用は進んでいない。昨年6月に発行された2015年のダイバーシティ・レポートによると、フェイスブックで管理職の立場にある女性は全社員の4分の1にも満たない。
女性だけでなく、黒人やヒスパニック系の従業員もフェイスブックでは少数派だ。白人やアジア系はIT業界で活躍しており、フェイスブックの米国本社では従業員の91%を占めている。だが、ヒスパニックの割合は4%、黒人はたった2%だ。役職付きの社員になるとその4分の3が白人だ。
これはフェイスブックに限ったことではない。グーグルの2015年ダイバーシティ・レポートも、従業員の91%がアジア系及び白人であり、女性社員の割合は30%しかないことを示している。
両社はここ数年ダイバーシティへの取り組みが遅れているという非難を浴びており、それを受けてマイノリティの従業員を増やす努力を進めることを公に発表している。
フェイスブックのダイバーシティ推進担当であるマキシン・ウィリアムスは、IT業界のマイノリティグループに属する大学1年生たちを対象にした教育プログラムや、女性をターゲットにしたコンピューターサイエンス・プログラムの広告展開、ブラックカレッジでの採用活動などを進めていると語っている。
だが変化はなかなか訪れない。2014年と2015年を比較すると、フェイスブックで働く女性従業員の割合は各国合わせても1%しか増えておらず、米国内での白人やアジア系ではない従業員の割合は全く変わっていなかった。
ザッカーバーグは2015年5月に開催されたタウンホールミーティングで「女性やマイノリティの採用を増やすための努力をしていきたい」と語ったが、変化が訪れるのはまだ先のことになりそうだ。