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photograph by Keith Ng

アクセルスペースの超小型人工衛星は、衛星写真のコストを100分の1にする。宇宙のビッグデータ活用の時代が到来した。

「宇宙はこれから、夢やロマンを持って見上げる存在ではなくなります」

オフィスの一角で開発中の人工衛星を横目にそう話すのは、アクセルスペースCEOの中村友哉。2008年に創業し、「超小型人工衛星」の開発・運用を行う同社は今年9月、ベンチャーキャピタル等から約18億円の資金調達を行い、新たな取り組みに乗り出している。それは手の届かない夢のある宇宙より、手の届くビジネスがある宇宙の利用を広げようというものだ。

超小型人工衛星とは、主に重量100kg以下の人工衛星を指す。その魅力は開発費が、場合によっては1億円以下に抑えられること。高価な宇宙専用部品を使用せず、品質が保証された安価な民生品を使うことで、低コストの人工衛星開発を実現した。一般的な人工衛星の開発費が大型であれば数百億円、小型でも数十億円かかることに比べれば、その投資はヘリコプター1機程度。民間企業が人工衛星を所有し、ビジネスに活かすことが視野に入ってくる。

「たとえば従来の地球観測衛星では衛星写真を1枚撮るのに100万円かかる。我々はそのコストを100分の1にして、幅広い用途をもたらしたい」

さらに同社は、人工衛星によって得られる“宇宙のビッグデータ”の巨大市場に注目する。新たに調達した資金で自社衛星3基を打ち上げ、宇宙データのビジネスを展開する。同社が志向するのは「地球全球の高頻度データ」だ。高頻度で撮影された全球データを解析すれば、アメリカなどの巨大農地の収穫高予測、主要都市部の渋滞の緩和など、様々な応用が可能となる。「さらに、IoTをはじめとした地上のミクロ視点に、我々が提供する宇宙からのマクロ視点を掛け合わせれば、新しい地球のビッグデータが生まれる」

中村氏は地球全球の高頻度データによる“未来の宇宙の情報産業”となれば1兆〜10兆円規模の市場ポテンシャルを見込めるという。「宇宙情報のインフラは先行者利益が大きな市場でもあるため、速さが勝負」と話す中村氏の目には、自社の超小型人工衛星への自信が溢れていた。

宇宙をみんなのものにする超低コスト人工衛星
一辺27cm、重さ10kg。手で持てるほどの超小型人工衛星が、安価で手軽な「宇宙からのビッグデータ」を可能にし、宇宙を利用したビジネスを目論む企業に道を拓く。1個あたりの製造コストは大型衛星の1/100だ。





アクセルスぺース◎超小型人工衛星の設計・製造・打ち上げまで手がけるスタートアップ。東京大学と東京工業大学の研究チームがベースだ。CEO中村友哉は、東京大学入学後に手づくり人工衛星に出合い、博士課程修了まで超小型衛星の開発に没頭。同大学での特任研究員(大学発ベンチャー創成事業)を経て、2008年に同社を設立。

森 旭彦 = 文

 

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