北朝鮮は1月6日、水爆実験に成功したと発表した。
実験の成功が事実であれば、北朝鮮の核軍備は飛躍的に増強されたということになる。核融合反応を利用する水素爆弾は、これまで北朝鮮が実験を行ってきた原子爆弾よりはるかに大きな破壊力を持つ。
水素爆弾の製造技術を手に入れたという北朝鮮の主張が事実かどうかは未確認だが、実験成功の発表とほぼ同じ時刻、米地質調査所は核実験場のある豊渓里(プンゲリ)周辺で振動を記録していた。水素爆弾であろうとなかろうと、北朝鮮が何らかの地下核実験を行ったことは、恐らく間違いないということだ。
これは何を意味するのだろうか?米国とその同盟国にとって、これは単なる後退ではない。大失敗だ。北朝鮮が核攻撃によって韓国や米国を直接的に脅かし得る状況がかつてなく現実味を帯びたという、非常に不愉快な見方が浮上しただけではない。
北朝鮮は不安定さを増す21世紀の全世界に対し、国際的な規則は無視し得るということを見せつけているのだ。テロを生み出し続け、血に染まる中東も、この状況を見ている。中東で軍拡競争が進んでいる兆候はすでに確認されている。今後はその競争の急速な激化に備えなくてはならない。
一方、こうした中で世界の大国は、この問題にどう対応しているのだろうか──日和見を決め込んでいる。
北朝鮮は2006年以降、2009、2013年にも核実験を実施しており、今回は4回目となる。まだ若い金正恩第一書記にとって核兵器は明らかに、その統治の中核をなすものだ。同国は爆弾の運搬手段としてのミサイルシステムの開発にも注力。ロケット発射基地である西海衛星発射場の改修工事に加え、移動式ミサイル発射台の製造や潜水艦発射ミサイル実験の実施などを行っている。昨年には多数の米軍高官が相次いで、北朝鮮は核弾頭の小型化に成功した(真偽は未確認)と警告した。
北朝鮮はさらに、核爆弾の燃料も製造している。2010年には、寧辺にある核施設でウラン濃縮活動が行われていることが明らかになった。その後も同施設の稼働体制は拡充されている。そして2013年には、プルトニウムを抽出できる原子炉を再稼動させた。
こうした一連の状況を受けて、米国から韓国、中国まで各国の専門家らが警告を発している。北朝鮮の核爆弾開発は急速に進められており、保有する爆弾の個数はすぐにも2桁に達するとういうのだ。
2014年末には国連安全保障理事会が同国の人権問題に関する決議を採択したことを受け、北朝鮮はこれを非難すると共に、追加の核実験実施で対抗する可能性を示唆した。昨年3月には、北朝鮮の玄鶴峰(ヒョン・ハクポン)駐英大使が英テレビ局スカイ・ニュースに対し、自国は「いつでも」核ミサイルを発射することができると語った。米UPI通信によると同大使は昨年秋にもロンドンで、広島に投下された原子爆弾の10倍の威力を持つ核爆弾をいつでも発射する準備ができていると述べている。
昨年12月には北朝鮮の国営朝鮮中央通信が、平壌の平川革命史跡地を訪問した金第一書記が自ら、北朝鮮は「自衛の核爆弾、水素爆弾を爆発させることができる強大な核保有国になることができた」などと発言したと報じた。
こうして北朝鮮が自国の核軍備の強化を触れ回る間、オバマ政権は何をしてきたのだろうか?オバマ大統領は米国と各国を、北朝鮮の古くからの友人であり、核開発でも協力してきたイランとの、核問題に関するばかげた最終合意に導いたのである。
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