英国の保険会社 ロイズの推定によれば、 サイバー攻撃によって、企業に年間4000億ドルほどの負担が生じている。これは、直接の損害に加えて、攻撃後に通常のビジネスに発生する障害を含む。ベンダーやメディアによっては、サイバー犯罪の被害額を5,000億ドル以上と推定している所もある。
IT市場情報を提供しているTechSci Researchによれば、過去5年間においては、銀行・金融サービスがサイバー犯罪の最大の標的であり、次いで、IT/通信、防衛、石油・ガスである。Infosecurity Magazineの2015年初めの記事によれば、金融サービス企業は、他産業の企業に比べて、なんと300倍の頻度で攻撃されている。そこにお金が集まることを考えれば、当然ではある。
米国の大手銀行は、サイバー犯罪問題に対して、最大級のセキュリティ予算で対応している。8月のウォールストリートジャーナル紙の報道によれば、JPモルガン・チェースの、サイバーセキュリティ費用が 2016年に約5億ドル(約594億円)になると予想している。その金額は、2014年にサイバーセキュリティに費やした2億5000万ドルの2倍に達する。
2015年、ブルームバーグのライブ・インタビューの中で、バンク・オブ・アメリカのCEOブライアン・モイニハンは、サイバーセキュリティに4億ドル費やすと述べた。
クレインの記事によれば、シティバンクのITセキュリティ予算は 3億ドルに上る。ヤフー・ファイナンスは、ウェルズ・ファーゴがサイバーセキュリティに毎年およそ2億5,000万ドル 使っていると報じている。
合計すると、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、シティバンク、ウェルズ・ファーゴは、サイバーセキュリティに15億ドル費やしている。Homeland Security Research Corp.が発行した「銀行・金融サービス・サイバーセキュリティ:米国市場2015-2020レポート」によれば、2015年の米国金融サービス・サイバーセキュリティ市場は、95億ドルに達し、最大の非政府サイバーセキュリティ市場となる。報告書は、2015年から2020年の累計で770億ドルになると結論付けている。
Atlantic CouncilとZurich Insuranceグループが最近発行した 研究 によれば、サイバーセキュリティが早く進歩しないと、2030年には、サイバー攻撃によって900億ドルの被害が出ると推計されている。これによって、銀行が今日よりも相当多くの金額をサイバーセキュリティに使うようになるかもしれない。それで、銀行が破綻しないように願う。