FAAは今回の登録制度により「所有者の住所、氏名を把握し、機体に固有の機体番号を掲示させることで、ドローンの安全な飛行を促進する」と説明していた。しかし、ここで問題になったのが、データベースに入力された所有者の個人情報の開示についてだ。
FAAはドローン所有者の個人情報を「一般に公開する」とし、ネット上のデータベースでサーチすれば誰でも閲覧可能な状態にしている。これに関してはプライバシーの侵害にあたるという声が高まり、愛好家団体の航空模型アカデミー(Academy of Model Aeronautics)も「この制度を中止させるべく、あらゆる法的・政治的手段を模索している」と発表していた。
そして12月24日、メイン州在住のドローン愛好家が、この制度は違法であるとの訴訟を連邦裁判所に持ち込んだ。John A. Taylorと名乗るその人物は、今回の登録制度は法的に無効であると訴え、「FAAにはユーザーが趣味で飛ばす機体を取り締まる権限が無い」と申し立てている。
FAAは以前から航空機の登録情報を公開してきたが、これは企業や個人が保有する旅客機に適用されたルールであり、ドローンにはこれが適用できないという理屈だ。この申し出と同様な意見は、会員18万人を擁する航空模型アカデミーからも出ており、ドローン所有者らに「登録をすべきでない」と呼びかけを行っていた。
FAAは重さ0.55ポンド(約250グラム)から55ポンド(約25キロ)までのドローンの保有者に登録を義務付け、13歳以上の保有者はウェブ上で氏名、住所、Eメールアドレスを入力するよう求めた。さらに1月20日以降の登録に関しては、5ドルの登録料を徴収するとしていた。
Taylor氏はこの制度を「ただちに無効化すべきだ」と裁判所に求めたが、裁判所はこれを却下し、その後法的妥当性の審議を行っている。次回の法的書類の提出期限である1月27日までに、何らかの動きがありそうだ。
航空模型アカデミーは今回の法的判断についてのコメントは避けたが、同団体の顧問を務めるデイブ・マシューソン氏はフォーブス宛に次のような回答を寄越した。
「今回のFAAの登録制度には早くから失望を感じていた。商用利用されるドローンについてはこのような登録制が必要かもしれないが、趣味で小型機を飛ばすユーザーらは十年以上に渡り、我々のアカデミーに登録を行ない、安全な飛行を行ってきた。FAAの登録制度は全く不必要なものだ」
マシューソン氏はさらに、「我々の団体(航空模型アカデミー)が独自に、もっと合理的な登録制度を会員向けに提供することも考えている」と述べている。