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2016.01.08 07:00

ベンチャー・キャピタリスト座談会「世界で戦う起業家」の種は蒔かれている!

artwork by SCHNABEL EFFECTS

Under30の起業家をテーマに、East Ventures松山太河、ANRIジェネラルパートナー 佐俣アンリ、Skyland Ventures 木下慶彦、3人のベンチャー・キャピタリストが語る。

松山:
最近、日本の若い起業家には大きな期待が集まっていると感じます。それに合わせて若い人のマインドも変わってきています。少し前なら「起業家は人生ドロップアウト組」のイメージがありましたが、最近は、起業することやスタートアップに勤めることがエリートコースに自然と組み込まれてきています。日本のスタートアップ・エコシステムを考えると、優れた若い起業家が続々と生まれていくことは重要です。そういう観点から見ても、いま“種”は数多く蒔かれている状態だと言えるでしょう。

木下:若い起業家は、国内よりも世界を意識し、日本発で世界のユーザーを獲得するサービスを目指している人が増えてきている。僕もアジアを中心にシンガポールや韓国、香港、インドネシアへと現地の起業家を訪ねるたび、そのような思考の必要性を感じます。

松山:少し前までは、優秀な人は自分の活躍の場としてアメリカ・シリコンバレーを見ていましたが、最近ではアジアも視野に入れる若者が増えてきました。今のスタートアップはマーケットが急成長する“アジアグロース”を狙っている若者と、国内での成長分野である“ITグロース”を狙っている若者に二分されている。そうした背景の中でも、僕はプロダクト開発型の経営者を応援しています。エンジニアリング能力を備えた経営者が新しく増えていると感じます。

佐俣:「グローバルで一番伸ばせるビジネスは何なのか」をとことん追求して時価総額1,000億円超えの“ユニコーン”を狙っていくのもひとつの戦い方です。その一方で、僕の投資先ですが、スマートドライブの北川烈のような、東大大学院在学中に起業し、自動車の走行ビッグデータという未知の市場へ向かう若い冒険家もいる。僕はこうした自分の思いを実現させたいという起業家にこそ期待をするし、もっと増えてほしいと思いますね。

木下:僕の投資先ですが、トランスリミットの高場大樹は根っからの“エンジニア社長”。彼らは開発した2つのゲームアプリで、全世界3,000万インストールを達成している。自分でプロダクトをつくりながら、世界を獲りにいき成果も出している。基本的にはインターネット分野の若い起業家が率いるスタートアップで働く最初の10人はエンジニアです。彼らの思考はこれまでの起業家の思考とは違い、いかに良いプロダクトをつくるかに集中しています。これが難しい。

若き世代のエコシステム

佐俣:僕の周りでは、元「グノシー」代表取締役の木村新司など、“2周目”に入った起業家も出てきました。20代半ばで起業して、30歳くらいで一度M&Aを経験し、次のフェーズに入っていく起業家たちです。起業するだけでなく、人とシーンを動かせる実績を持つ若い起業家が確実に増えている印象です。

松山:“2周目”に入った若き起業家が、また起業したり、エンジェル投資をしたりすることで、スタートアップシーンに厚みがでます。シリコンバレーの強みもそうした起業家のエコシステムが回ることですから。「スタートアップの母数をとにかく拡大する」という意味でも若い世代のエコシステムができつつあることは、いい傾向だと思います。

注目のUnder30起業家10人

トランスリミットー高場大樹
脳トレゲームアプリ「ブレインウォーズ」などの開発

BASEー鶴岡裕太
無料のインスタントECサイト作成サービスの開発・運営

スクー森 健志郎
オンライン動画学習サイト「schoo WEB-campus」の運営

スマートドライブー北川 烈
車両診断デバイスの開発、自動車走行データの収集解析

カウモー太田和光
モノに特化したキュレーションサイト「KAUMO」の運営

ペロリー中川綾太郎
女性向けキュレーションプラットフォーム「MERY」の運営

プロゲートー加藤將倫
オンラインプログラミング学習サービスの開発・運営

ココンー倉富佑也
グローバルクラウドソーシングサービスの運営

we-bー真子就有
プログラミング学習プログラム「テックキャンプ」の運営

GameWith 今泉卓也
ゲーム攻略情報メディア「GameWith」の運営

松山太河◎East Venturesマネージングパートナー。国内及びアジアのアーリーステージの投資を行う。主な投資先にメルカリ、FreakOut、モイ、Gunosy、ペロリなど。

佐俣アンリ◎ANRIジェネラルパートナー。リクルートのメディアテクノロジーラボなどを経て2012年に自身のファンドを創設。主な投資先にラクスル、カンムなど。

木下慶彦◎Skyland Venturesマネージングパートナー。大和SMBCキャピタルなどを経て2012年自身のファンドを創設。主な投資先にトランスリミット、八面六臂など。

構成=森 旭彦

この記事は 「Forbes JAPAN No.18 2016年1月号(2015/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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