配車アプリ戦線から脱落のSidecar社 資金調達で出遅れ

Photo by Brian Ach/Getty Images for TechCrunch

昨年末にはウーバーとリフトが相次いで10億ドル以上の資金調達を実施。今年もさらなる成長が期待される配車アプリ業界だが、両社とともに市場を切り拓いたある企業がひっそりとサービスを終了していたことは、あまり報道されていない。

その企業の名はサイドカー(Sidecar)。同社は昨年12月31日、サービス停止を宣言。各社がしのぎを削る業界で事実上の降伏宣言を行った。サイドカーCEOのスンニ・ポールはMediumの投稿で「今後は戦略的な事業内容の見直しを行ない、次のチャレンジに向かっていく」と宣言しているが、具体的な事業内容は明らかにされていない。

「私はチームと共に成し遂げたことを誇りに思います。競合と比べると資金調達額には大きな差がありますが、我々はライドシェア業界のパイオニアであり、今後も他社の先を行くプロダクトのリリースを継続していきたいと思います」とポールCEOは続けた。

配車アプリ業界ではここ数年、各社の資金調達額の差が顕著になった。クランチベースのデータによると、サイドカーがこれまでに調達した金額はわずか3500万ドル(約42億円)。リフトの12億6000万ドル(約1500億円)。ウーバーの66億1千万ドル(約7900億円)と比較するとその差は歴然だ。両社は依然として赤字だが、調達した金で市場の拡大を続けている。

昨年8月、サイドカーはフォーブスの取材に対し同社が今後、一般客向けの配車サービスから企業向けにドライバーを派遣する方向に事業転換を行うと語っていた。また、それと同時に「ウーバーやリフトに追いつくことは、もはや不可能だ」とも述べていた。

しかし、ドライバー派遣の分野でもDoorDash や Postmatesらが豊富な資金を手にした競合として立ちはだかっていた。サイドカーは明らかに出口を失っていたと言えるだろう。

サイドカーのファンたちに言わせれば同社の強みは、前払い制の明朗会計や自分の車を用いてサービスにあたるカジュアルなドライバー、乗り合い制などの柔軟なサービス体制にあった。しかし、同社はそのテクノロジーを十分に活かせず、競合との競争の中で敗退した。

「我々のビジョンは交通分野に新たな革命をもたらすことでした。一定の成果をあげることは出来ましたが、結果的にサービス停止に至ったことは非常に残念です」と、ポールCEOは声明で述べている。

翻訳編集=上田裕資

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