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2015.12.25

多様性と先進性を追求し、変化する投資環境にも柔軟に対応 ニューバーガー・バーマン

ニューバーガー・バーマン株式会社 大平 亮 代表取締役社長 マネージング・ディレクター/photograph by Hirose Junji

ニューバーガー・バーマンは、米国を本拠とし、世界19カ国に34拠点を構える独立系の運用会社だ。グローバル企業ならではの多様性と、新たな投資機会を創造する先進性が強み。2016年で創業77年、起業家精神が旺盛で今なお革新を続ける老舗に、拡大の背景を聞いた。

ニューバーガー・バーマンは、1939年の創業以来、運用会社として世界中の投資家に幅広い投資商品やサービスを提供してきました。老舗の運用会社というと、株式や債券といった伝統的資産を中心に運用しているイメージが一般的には強いかもしれません。しかし、当社はこうした資産以外を投資対象とするオルタナティブ運用や、複数の資産に分散投資するマルチ・アセット運用にも積極的に取り組んでいます。ユニークで幅広い運用戦略が強みです。

オルタナティブ運用は、個人投資家にとってなじみが薄いかもしれません。しかし、これは伝統的資産に対して相関性が低い傾向があるので、株式や債券を中心に運用している個人投資家にとって、分散投資の観点から、新たな選択肢の一つといえるでしょう。

従来のオルタナティブ運用は、運用内容が非開示であるうえ、解約のタイミングが限定されており、さらには手数料が割高であるなど、個人投資家に提供するにはいくつかの課題がありました。そこで、当社はこうした問題を解消する商品を展開しています。それが、「高い透明性」「高い流動性」「低い手数料」「少額投資」を可能にした「リキッド・オルタナティブ」です。すでに米国では確定拠出年金や公募投資信託の運用手段として採用されており、20 09年頃から市場の拡大が続いています。日本においては当社が他に先駆けて、14 年から国内の公募ファンドを通じて個人投資家への提供を開始しました。

また15年には、主に欧州の事業会社が発行しているハイブリッド証券に投資する「コーポレート・ハリブリッド証券戦略」や、格付けがA格以上の米国の地方債に投資する「高格付け米国地方債戦略」など、今まで日本にはなかった資産クラスへの投資機会を提供し始めました。投資機会や規制環境の変化に柔軟かつスピーディに対応し、商品ラインアップを絶え間なく拡充していることが、当社のグローバルでの成長を支えています。

■信頼を得るには20年。失うには5分
企業は今、従来にも増して質の高いガバナンスが求められるようになっています。一流企業による不祥事が相次ぎ、世間の厳しい目が向けられたことは記憶に新しいでしょう。

ウォーレン・バフェットは「信頼を得るには20年、失うには5分」と語ったと言われています。信頼を構築するためには長年にわたる真摯な取り組みの積み重ねが必要ですが、それを失墜させるのは一瞬だということです。投資家は長期的な視野に立って投資先を選択し、大切な資産を預けています。それだけに、お客さまから資産運用を任されている運用会社は、経営の持続性や安定性を何よりも強固にしなければなりません。

「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」の観点からも、運用会社として真に投資家のためになる行動を徹底し、サービスの質の向上を図ることが必要です。当社では顧客本位の姿勢を重視しており、具体的な行動につなげることで浸透を図っています。

その一つが、「従業員パートナーシップ制度(従業員による株式保有制度)」です。従業員が自社株式を100%保有するプライベート経営にすることで、経営の独立性と安定性を確立しています。これにより、経営が親会社や一般株主の意向に左右されたり、運用にあたって目先の数字にとらわれたりすることなく、運用担当者が真にお客さまのための運用に集中することができるのです。さらには、運用担当者や経営陣が自らの報酬の一部を自社の運用商品に投資することにより、お客さまと同じ側に立ち、従業員とお客さまの利害が一致する体制を築いています。これはお客さまに提供している運用サービスに対する高いコミットメントの表れといえるでしょう。

日本法人でも、サービスの質に対する経営上のプライオリティは高く、常に改善を図っています。一例を挙げると、14年からニューヨークに、15年からシカゴにも日本人スタッフを配し、運用の現場と緊密なコミュニケーションを取ることができる態勢を整えました。これは日本のお客さまの声を的確に届けると同時に、質の高い情報をきめ細かく、スピーディにお客さまに提供するためです。また機関投資家や投資信託販売会社を対象としたセミナーの開催や米国の運用現場におけるトレーニーの受け入れなどを通じて、最新の市場見通しや運用戦略に関する情報提供も積極的に行っています。こうした取り組みを「ナレッジ・トランスファー(知識移転)」と呼び、これを充実させることで、お客さまからの信頼や安心感を高めることを目指しています。

■変化に強い組織は、多様性がカギ
ニューバーガー・バーマンは、世界中に2,000人を超える金融プロフェッショナルを擁していますが、異なるバックグラウンドをもつ者同士が互いに尊重し、対等に関わり合う文化を育んでおり、これが新たな価値の創造や組織の強さの源泉となっています。日本法人を見ても、性別や年齢にとらわれないフラットな組織で、子育てと両立しながら働いている人も少なくありません。状況に応じて在宅勤務を活用するなど柔軟な働き方が自然とできる環境を整えています。
 
また運用会社の要といえる運用担当者をはじめ、従業員の勤続年数が長いことも特長です。当社は13年と14年、そして15年に、米『ペンション&インベストメンツ』誌の「働きやすい運用会社(Best places to work)」に3年連続で選ばれています。このような風土が、従業員の高い定着率や、運用戦略の安定したパフォーマンスにもつながっていると信じています。

当社はこれまで世界の各地域で、多様な社会貢献活動に取り組んできました。日本法人でも、支援を必要としている施設や団体でのボランティア活動に全社員が参加。さらにグローバル社会でリーダーシップが発揮できる人材の育成に力を入れている先進的な学校や、世界中から選抜された若手音楽家を育成する団体への支援などを通じて、次代を担う日本人がグローバルに活躍することを後押ししています。

■投資家の資産形成支援に強い使命感
ニューバーガー・バーマンは、04年から日本の金融機関や年金基金向けに運用サービスの提供を開始し、日本での事業基盤を拡大してきました。11年からは国内の投資信託会社と個人投資家向けファンドの共同組成を開始し、お客さまのすそ野が広がりつつあります。外資系の金融機関としては珍しく、日本はアジア地域における一拠点ではありません。日本法人は単独の拠点としてビジネスを展開しており、ニューヨーク本社、ロンドンに次ぐ、第3の重要な地域拠点として、着実に陣容拡大を続けています。

16年も、予期せぬイベントや市場の変化があるかもしれません。それでも当社は、これまで幾多の景気サイクルを乗り越え、長年にわたり培ってきた経験を生かし、多様なニーズにお応えする商品提供力とサービス力を高めていきます。そうして投資家の安定的な資産形成や金融リテラシーの向上を支援し、ひいては国益に貢献することで、独立系の運用会社としての使命を日本のマーケットでしっかり果たしていきたいと考えています。

おおひら・りょう◎東京大学工学部、筑波大学大学院卒業。日系大手金融機関にて運用商品企画・立案や公的年金、企業年金のポートフォリオの運用・管理等を担当。ニューバーガー・バーマン・グループ東アジア地域(日本および韓国)の総責任者に就任後は、同地域でのビジネス戦略立案、株式、債券およびオルタナティブ戦略等に関する商品企画およびマーケティング戦略等の指揮を執る。

ホームページ:https://www.nb.com/japan
商号等:ニューバーガー・バーマン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2094号
加入協会: 一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
※上記の戦略では、海外の有価証券等値動きのある金融商品に投資しますので、組み入れた金融商品の値下がりやそれらの発行者の信用状況の悪化、為替レートの変動の影響などにより、損失を被る場合があります。従って、元本が保証されるのものではなく、投資元本を割り込む場合があります。また、ヘッジファンド等のオルタナティブ投資は投機的な投資であり、高いリスクを伴います。本資料は当社の運用戦略をご紹介する目的で作成されたものであり、特定の金融商品等を勧誘するものではありません。実際のご投資の検討にあたっては、個別の金融商品等の契約締結前交付書面等の内容を十分にご確認ください。

文=鈴木雅光

この記事は 「Forbes JAPAN No.19 2016年2月号(2015/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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