米国の「合法大麻」市場 3年後には1兆円を突破との予測

Irene Rodriguez / EyeEm / gettyimages

2014年1月、大麻の娯楽目的使用を解禁したコロラド州を皮切りに、米国ではワシントン、アラスカ、オレゴンの計4州で、娯楽目的の大麻が販売されている。大麻関連のスタートアップも続々と立ちあがる中、「数年後には、米国内で1兆円規模の合法大麻市場ができる」との試算も公表されている。

ワシントンD.C.を拠点とするスタートアップ「ニューフロンティア・フィナンシャル」は、大麻の地域別の情報、各州での合法化の動向、価格変動の影響などのビッグデータを解析し、関連企業や投資家らに提供するサービスを行う。

大麻業界のリサーチ機関としては、サンフランシスコを拠点とする「アークビューグループ」が広く知られている。創業5年の同社によると米国の合法大麻市場規模は2014年に27億ドル(約3200億円)。2019年には約110億ドル(約1兆3千億円)に膨らむと予測している。

アークビュー社のデータは、大麻関連のスタートアップに5500万ドル(約66億円)以上の投資を決断させる実績も出しているが、それに比べるとニューフロンティアは新参者だ。

2014年11月、アークビューのCEO、トロイ・デイトンがニューフロンティア創業者のDeCarcerに会った時、彼女はデイトンが毎週開催する大麻関連スタートアップの会合の参加者の一人に過ぎなかった。その後、業界のほとんどの企業が集まったコロラド州デンバーの会合で、ニューフロンティアは「今後、大麻の価格が急落する」と予測し、デイトンはその内容に注目した。

「最初にニューフロンティアのリポートを見た時、これは我が社が発表したかったデータだと思ったのです」とデイトンは言う。

2社はそのままでは競合となる可能性もあったが、パートナーシップを結び、それぞれの得意分野を活かすことに決めた。

ニューフロンティアのビッグデータ解析技術と、アークビューの質の高い調査が組み合わされれば、大麻市場をけん引する存在となるのは間違いない。そのリポートのお陰で、投資家はより的確な投資が行える。また、同社の報告書は、政治家や大麻業界の大物たちが、米国のより多くの州で、大麻合法化を推進する後押しにもなる。

「他の誰にも私たちほどの調査能力はないし、追いつけません」とニューフロンティアの担当者は述べている。アークビューは業界のイベントやネットワークづくりに集中し、新規参入する投資家とスタートアップを結びつる。有名な大麻関連企業「Canopy」とも協力する。

また、ニューフロンティアは医療用大麻企業とのパートナーシップも締結している。アークビューのデイトンCEOによると、「この業界には様々なバックグラウンドを持つ人々が参入している」という。ニューヨークの投資銀行のフロアが、大麻業界だらけになる日も近いのかもしれない。

編集=的野裕子

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