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AI

2026.10.27 08:46

AI投資を無駄にしないために 持続可能な導入の条件

Adobe Stock

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AIプロジェクトは、設計どおり完璧に機能したとしても、投資としては不十分な結果に終わることがある。組織が活用できない時間を削減するだけで終わることもあれば、予想以上の監視コストを要したり、明確な財源がないまま継続的な費用を発生させ続けたりする場合があるからだ。デモンストレーションの成功をそのまま長期的な取り組みへと移行させる前に、こうした懸念点に十分な注意を払う必要がある。

ヘルスケアテクノロジーの分野に携わる筆者は、実用的な視点からAIに向き合っている。「AIが日常業務の一部となった後、その有用性を維持するには何が必要か」という問いだ。この答えは、病院や企業にとっても、AIインフラに投資する国家にとっても、等しく重要であると考えている。

AIのコストとリターンをめぐる課題

導入費用の支払いは、ほんの始まりにすぎない。組織はデータの整理、システムの連携、従業員のトレーニング、パフォーマンスの監視を行う必要がある。さらに、不確実なアウトプットを確認し、ミスを修正する人員も欠かせない。これらの業務にかかる従業員の稼働時間を現実的に見積もり、当初の予算に組み込んでおく必要がある。さもなければ、従業員がコストの一部を陰で負担することになり、一見手頃なプロジェクトに見えてしまう恐れがある。

利用頻度によっても計算は変動する。リクエスト単価が低くても、利用する従業員が増えたり、ワークフロー内でモデルの呼び出しが繰り返されたりすれば、請求額は膨れ上がる。一方で、削減された時間は、残業代の削減、サービスの処理能力向上、売上増といった測定可能な変化につながって初めて金銭的価値を持つ。単に削減された時間に時給を掛け合わせたところで、人件費が実際に減ったことの証明にはならない。

より大きなスケールで見ると、インフラへの投資も莫大な負担を伴う。国際エネルギー機関(IEA)が2026年4月の評価報告で予測したところによると、世界のデータセンターの電力消費量は、2025年の485テラワット時(TWh)から2030年には約950テラワット時に急増するという。これはデータセンター全般を対象とした数値だ。政府や企業のリーダーは、新規建設が提案される施設の後ろにある電力供給や送電網への投資コスト、さらには誰がその資金を負担するのかまで考慮しなければならない。

導入のタイミングも難題を生む。導入コストは成果が出る前に発生する。最終的にはリターンを生み出すプロジェクトであっても、移行期間中の資金調達が難航する場合がある。また、費用を負担する組織が成果の一部しか享受できないケースもある。例えば、病院が費用を投じて導入したシステムが、患者や保険会社に利益をもたらすような場合だ。

測定可能な価値から着手する

筆者は段階的な投資を推奨する。まずは特定の業務課題に焦点を当て、現在のコストとパフォーマンスを記録する。限定的な導入を行い、適用拡大に必要な成果基準(エビデンス)をあらかじめ設定した上で、検証日を設けるのだ。財務、現場、ITの各部門が共同でその決定を行うべきである。パイロット運用を漫然と継続することは、恒常的な予算を与えるべきかどうかの結論を出せないまま、資源を浪費することになりかねない。

確認や修正といった作業を含め、一つの有用なタスクを完了するのにかかる全コストを測定する必要がある。医療の質の向上やスタッフの負担軽減などは、即座のコスト削減につながらなくても支出を正当化し得るが、そうした恩恵にも独自の測定指標が必要だ。また、新旧プロセスの併用期間に伴う予算も確保し、定着の遅れや導入の遅延が生じた場合でも許容できるかテストしておくべきである。

これらの要件に基づいてテクノロジーを選択する。小規模なモデルや既存のサービスで十分な場合もある。自社でシステムを開発またはホスティングする場合は、要員計画、セキュリティ、保守運用の評価が不可欠だ。また、ベンダーへの依存が深まる前に、将来の価格設定やデータアクセス権限、他社への乗り換えコストなどを契約書上で明確にしておく必要がある。

こうした規律は、より大規模な視点でも求められる。政府指導者は、国内インフラの構築が必要な領域と、共有インフラや既存容量の購入で事足りる領域を見極めるべきだ。世界銀行のAIの基盤に関する2025年のレポートでは、接続性、コンピューティング容量、関連データ、スキルが強調されている。筆者の考えでは、実効性のある導入を阻んでいる課題に対して資金を投じるべきであり、成果は公共サービス、生産性、中小企業のアクセス性などを通じて測定されるべきである。

資金調達の仕組みは、誰が利益を得て、誰がリスクを負うかを反映していなければならない。民間資金を活用すれば初期負担を分散できるが、政府保証などが将来的な公的負債を生むリスクもある。社会的価値と国家財政へのリターンは区別して評価する必要がある。同様に、企業も支払いが複数年に分散される場合であっても、最終的な財務負担の総額を把握しておく必要がある。

自らの経験から得た教訓

以前携わった臨床意思決定支援のプロジェクトにおいて、筆者らは集中治療の臨床医と協力し、リアルタイムの患者情報の活用に取り組んだ。初期の議論は、ネットワーク接続性、ダッシュボード、システムのデータ更新速度といった点に集中していた。

しかし、現場の医師たちが発したのは異なる問いだった。「本当に注意を払うべき状況はどれか」「アラートは自らの治療プロトコルに合致しているか」「足りない情報は何か」。そこで我々は、現場の意思決定から逆算して必要なデータソースを特定し、実際の診療シナリオに照らし合わせてアラートの設定を検証した。アラートは段階的に導入され、実際の運用状況に基づいて微調整が重ねられた。

この経験が、筆者のAI経済学に対する考え方の根底にある。有用なアラートの定義、その検証、フィードバックへの対応のすべてに、専門家の貴重な時間が費やされる。こうした活動コストこそ、投資計画に含めるべきものだ。技術デモはシステムが生成できるものを示すにすぎない。その真の価値を理解するには、人々がそれをどう活用し、その運用を信頼できるものにするためにどれほどの作業が必要かを精査しなければならない。

おわりに

筆者は、特にヘルスケア領域におけるAIの可能性に対して楽観的な見解を持っている。しかし同時に、導入後も継続的な投資検証が必要不可欠であると信じている。次期の予算査定を行う際、リーダー層は成果を生んでいるサービス、その全コストの明確な試算、そして持続可能な財源確保の道筋を明示できなければならない。それができないのであれば、プロジェクト規模を拡大する前に見直しを図るべきである。

(forbes.com 原文)

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