米国時間10月26日、アンソロピックが新規株式公開(IPO)に向けた正式申請を行った。この上場は株式市場の歴史の中でも最大級のものとなる可能性がある。
早ければ11月中旬に上場──今年上半期は約12兆9000億円の純損失を計上
6月、米証券取引委員会(SEC)に非公開の申請を行っていた同社は、早ければ11月中旬にもティッカーシンボル「ANT」で上場する見通しだ。
現時点では目標とする時価総額や発行株式数は明らかにされていない。上場主幹事はゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが務める。
申請書類によると、アンソロピックの今年上半期の売上高は前年同期の12億ドル(約1920億円)から約163億ドル(約2兆6100億円)へと急増した一方、純損失は807億ドル(約12兆9000億円)にのぼった。
調達額は約16兆円以上、WSJが報じた評価額は最大約320兆円
ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として、アンソロピックが11月16日の週に上場する計画だと報じた。同社はこの上場で合計1000億ドル(約16兆円)以上を調達し、その企業価値は1兆5000億〜2兆ドル(約240兆〜320兆円)に達する可能性があるという。
がん治療から監視国家まで、届出書はAIの恩恵と脅威を列挙
アンソロピックは投資家に対してAIの可能性とリスクの双方を伝えることを目指しており、AIの主な活用分野として、生物学や医療、経済成長、社会保障へのアクセス拡大、行政サービスの4つを挙げている。
同社は医療面では、AIががんやアルツハイマー病、心臓病、希少遺伝性疾患、主要な感染症の治療につながる可能性があると考えており、遺伝子編集に応用できる可能性のある分子マシンなど、AIがすでに発見した生物学上の功績をあげた。
また経済成長の面では、AIが既存の業務プロセスを効率化し、新たなプロセスのアイデアを生み出すことで、先進国における生産性の停滞を打破できるとしている。さらに、利用可能なデータや専門知識の幅を広げることで、世界全体の経済成長率を引き上げ、重要な医療サービスを受けられない地域に医薬品やサービスを届ける助けにもなるという。
このほか、政府との連携を続けて手続きを効率化することで、税務や社会福祉、医療、都市計画や許認可といった行政サービスを大幅に改善できるとの見方を示した。
こうした目標は、アンソロピックの共同創業者兼CEOであるダリオ・アモデイが2024年10月に発表した著名なエッセイ『Machines of Loving Grace』の内容を色濃く反映している。アモデイはその中で、生物学と身体的健康、神経科学とメンタルヘルス、経済発展と貧困、平和とガバナンス、労働と生きがいという5つの分野でのAI活用が「人間の生活の質を直接的に向上させる最大の可能性を秘めている」と論じていた。



