ドナルド・トランプ米大統領は25日に開かれた選挙集会で、ノルウェーの首都オスロに本部を置くノーベル委員会が今年、ノーベル平和賞を自身に授与しなかったことに対する批判を改めて展開した。
米ミシガン州で開かれた選挙集会で演説したトランプ大統領は、自身が「8つの戦争を阻止した」という疑わしい主張を繰り返したほか、ノーベル賞発表の1週間前にメラニア・トランプ夫人に対し、「ノーベル平和賞を受賞できれば大きな名誉だ」と語ったことを明かした。
同大統領は、今年のノーベル平和賞を受賞したナバネセム・ピレイ元国連人権高等弁務官に対する不満を改めて口にし、「誰も聞いたことのないような人物」とした上で、「私はどうなんだ? (ノーベル平和賞を)2つ出すことはできないのか?」と聴衆に訴えかけた。
トランプ大統領はさらに、「率直に言って、ノルウェーは最悪だ。実際、ノルウェーは汚い便所のような国になり下がってしまった」と発言した。同大統領はハイチやソマリア、イエメンなどの国々に対しても同じ表現を用いた過去がある。演説の中で移民問題について触れると、同大統領はデンマークからの移民は歓迎するが、「ノルウェーからの移民は1人もいらない」とした上で、「ノルウェーとは一切関わりたくない」と切り捨てた。
一方、ノルウェー政府は、ノーベル委員会は独立した組織であり、同国政府は受賞者の決定に一切関与していないことを明言している。
ピレイ元高等弁務官が今月、ノーベル平和賞の受賞者に選ばれたことを受け、トランプ大統領は自ら創設したSNSのトゥルースソーシャルに次のように投稿した。「私はこの女性について何も知らないし、他の誰も知らないはずだ! 実際、私の知る限り、この女性がイスラエルを明らかに憎んでいるという事実以外、この女性について聞いたことのある人は1人もいない」。さらに同大統領は、自身は「1回どころか、8回ノーベル平和賞を受賞しているはずだ」と主張。今回の選考結果は「ノルウェーにとって消えることのない汚点であり、決して忘れ去られることはないだろう」と書き込んだ。
トランプ大統領は1月、ノルウェーのヨーナス・ガール・ストーレ首相に書簡を送り、昨年のノーベル平和賞受賞者に選ばれなかったことへの不満を表明した。同大統領は「8つの戦争を終結させたにもかかわらず、貴国が私にノーベル平和賞を授与しないとの決定を下した以上、もはや平和だけを考える義務は感じない」と記した。これは、同大統領がかつて示唆したグリーンランドを武力によって米国に併合する構想と、ノーベル平和賞を逃したことを結び付けているものとみられる。トランプ大統領は、平和は「常に最優先事項」だとしながらも、「今後は米国にとって何が善であり、何が適切かを考えることができる」と付言した。
昨年のノーベル平和賞受賞者であるベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャドは、米国が同国のニコラス・マドゥロ大統領を拘束してから数週間後の1月、米ホワイトハウスでトランプ大統領と会談した。会談の中で、マチャドは自身のノーベル平和賞のメダルをトランプ大統領に贈呈した。同大統領は「私がこれまでに成し遂げた功績をたたえ、マリアが自身のノーベル平和賞を私に贈ってくれた」と述べ、この行動を「相互尊重の素晴らしい表れ」だと評した。
一方、ノーベル委員会は「ノーベル賞は取り消すことも、他者と共有することも、譲渡することもできない。一度発表がなされれば、その決定が覆ることは永久にない」と説明している。



