ピート・ヘグセス米国防長官は、これからの米国の防衛の基盤として、AI(人工知能)駆動型システムの開発に全力を注いでいる。その最たる例が、最近発表された「自律戦闘軍(AutoWarCom)」の創設だ。「米軍全体で自律・ロボット能力を活用した戦力を拡充する」ことを目的としている。
だが、人間の介入をほとんど、あるいはまったく必要としない兵器の重点化は誤った方向性だ。こうしたシステムが米国の軍事力と影響力を今後も維持するうえで不可欠だという前提も、実証されていない。
米軍の歴史に満ち溢れる、戦争を一変させると主張する新技術
米軍の歴史は「戦争の性質を一変させ、対抗国に対する決定的な優位性を獲得できる新技術」に関する主張に満ち溢れている。そして、こうした主張は誤りであることがあまりにも頻繁に証明されており、場合によっては壊滅的な結果を招いてきた。
ベトナム戦争中、米国防総省は「電子戦場(electronic battlefield)」という概念を大々的に打ち出した。高度なセンサーや標的捕捉システムを用いて、ジャングルの奥深くに潜むゲリラ部隊を発見・殲滅するための計画だった。ウィリアム・ウェストモーランド司令官は画期的だと評したが、現実はといえば、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)が単純な手段でシステムを回避する方法を考案し、事実上無用の長物と化してしまった。
1983年、ロナルド・レーガン大統領は核ミサイル攻撃に対する完全無欠の防衛システムを開発する構想「スター・ウォーズ計画(戦略防衛構想:SDI)」を発表した。それから40年以上の歳月が過ぎ、数千億ドルもの税金が投入されたにもかかわらず、ミサイル防衛システムはいまだ実環境試験にこぎつけられていない。しかも、ほとんどの独立系専門家は「完璧な防衛は不可能」という点で一致している。
これは、ドナルド・トランプ大統領が提唱する「ゴールデンドーム」構想にとってもよい兆候とはいえない。ゴールデンドームもまた、攻撃してくるミサイルに対する完璧な盾という目標を達成することなく、巨額の資金を費やすことになりそうだ。



