キャリアのはしごの最初の段を取り払ったことで、はしご全体が揺らいでいる。中間管理職は低レベルの実務に埋没し、シニア職は有能な人材不足に苦しみ、経営幹部は会社のイノベーションの貯水池が枯れていくのを見守るしかない状況だ。
そこで浮かび上がるのが、あらゆる組織の存続を脅かす問いである。すなわち、次世代の経験豊富な人材はどこから生まれるのか、ということだ。
はしごは上層部ばかりが重くなっている
ここ数年、雇用主たちはエントリーレベルのキャリア段をほぼ消滅させてきた。AI、経済の不確実性、人員適正化、採用市場の停滞など、さまざまな要因が重なってこの変化を生んだ。短期的にはコスト削減になった。だが長期的には、その判断を見直す雇用主も出てきている。ガートナーは、AI関連の人員削減を行った企業の半数が従業員を再雇用すると予測している。
若手人材は依然として見過ごされているものの、雇用主はより上級のポジションを求めている。Indeedの調査によれば、2025年1月から2026年5月にかけてシニアレベルの求人は13.5%増加した一方、中堅レベルは6.7%、エントリーレベルは6.3%減少した。ソフトウェア開発分野だけを見ても、2026年第1四半期の求人のうち約70%がシニアレベルだった。
今日のシニア開発者も、かつては若手開発者だった。今日のオペレーション責任者も、かつてはアナリストだった。今日の経営幹部も、かつては職場での立ち回り方を学んでいた。経験は天然資源ではなく、意図的に生み出されるべきものだ。2027年に向かうなかで、経験を積む機会を得られる人が減ったとき、人材パイプラインがどうなるかを雇用主は考えるべきである。
修復すべきはしごの亀裂を、以下に挙げる。
1. 働き方を学ぶ段階
多くのエントリーレベル業務を自動化したことで、私たちは「働き方を学ぶ」という極めて重要なキャリア段階を事実上なくしてしまった。これはエントリーレベルだけの問題ではなく、組織全体の問題になりつつある。
かつての手作業は、上司とのコミュニケーション、締め切りの遵守、フィードバックの受け取り方、問題解決、ミスからの立て直し、顧客理解、判断力の行使といったことを学ぶ場となっていた。
AIはこうしたタスクの一部をますますこなせるようになっているが、経験の浅い労働者に対し、自ら実践することで得られるような判断力を与えることはできない。その結果、労働力全体の「経験不足」が生じている。事業への影響はどうだろうか。判断力や組織知、一生モノのスキルを身につける労働者が減少し、いざ採用した際の即戦力化までの時間が長期化し、経験豊富な従業員がそのギャップを埋めるための負荷をより強く受けることになる。
2. 高すぎる階層での実務作業
かつて6人の部下を指導し、プロセスを改善し、顧客と対話していた管理職が、今やAIのアウトプットをレビューし、成果物を修正し、資料を準備し、以前は若手に任せていた仕事をこなしている。企業は人員を減らしながら、同時に最も価値ある人材のレバレッジを下げるというパラドックスを生み出している。
事業への影響は、燃え尽き症候群にとどまらない。マネジャーは人材育成やコーチングに割く余裕を失い、戦略的な業務が後回しにされる。将来のリーダーシップ職を見据えて準備すべきポテンシャルの高いマネジャーが、現在の役職における実務処理に消耗させられているのだ。
3. 補充を上回るペースで人材パイプラインが消費されている
シニアリーダーシップへの需要は高まっているが、社内でその経験を生み出そうとする組織が減れば、企業は外部労働市場から経験を買い続けることなどできない。アナリスト、コーディネーター、若手開発者、アソシエイト、リクルーター、技術者が今日学ばなければ、将来のシニアリーダーシップのパイプラインは大幅に縮小する。
長期的には、これはシニア職の空席化を招き、後継者計画を危うくする。
キャリアのはしごを再設計する
古いキャリアのはしごは修復するのではなく、再定義する必要がある。新しいキャリアのはしごは、学習、レバレッジ、リーダーシップを軸に構築されるべきだ。
1. エントリーレベルの労働者は、学び手・実践者・AIの副操縦士になる
エントリーレベルの職に2〜3年の経験を求める代わりに、雇用主はアプレンティスシップ、インターンシップ、その他の職場学習モデルを通じて意図的に経験を創出できる。若手従業員はAIの使い方を学ぶと同時に、その結論を疑い、アウトプットを検証し、提言を伝え、判断力を発揮することも学ぶべきだ。
2. 中間管理職は、人材の育成者になる
若手層の能力向上・キャパシティ再構築が進むにつれ、マネジャーは意味のある業務を権限移譲し、判断力を教え、将来のリーダーを育てなければならない。組織は人材育成や社内流動性をマネジメントの評価基準に組み込むことで、これを強化できる。
単にチームの最下層を排除するのではなく、人材の成長度合いでマネジャーを評価し、チームの生産性を高めるためにAIを活用すれば、中間管理職は土台を強固にしながら自らも上位の役職へと備えることができるようになる。
3. シニアリーダーは、組織能力のアーキテクトになる
リーダーは、重要な知識がどこに存在するかを特定し、学習経路を構築し、新進リーダーを後援し、後継者計画を年次の人事行事ではなく能動的な経営規律とする必要がある。
古いキャリアのはしごは失われた
古いキャリアのはしごは二度と戻らないし、戻すべきでもない。最初の段が壊れたとき、はしご全体の健全性も損なわれた。たしかに私たちは段を変えたが、はしごそのものの必要性までなくしたわけではない。誰かが依然として、ビジネスを学び、小さなミスを重ね、判断力を磨き、初めて人を管理し、やがてはあらゆる組織が採用したがるシニア人材にならなければならない。
2027年の計画を立てる今、すべてのリーダーが問うべきは、3年後、5年後、10年後に組織が必要とする経験を、人々がどのように積んでいくのかということだ。この問いに今日答える組織こそが、明日のAI活用型労働力のために、より良く、より強いキャリアのはしごを築くだろう。



