キャロル・フェアは、米ピードモント航空の客室乗務員となって24年目を迎えた1987年6月15日、米ノースカロライナ州シャーロットと英ロンドンを結ぶ国際線の初就航便に乗務した。それは当時南部の中規模都市にすぎなかったシャーロットが、やがて全米でも有数の重要な航空ハブへと成長する第一歩を踏み出した瞬間だった。
この記念すべき初便の思い出は、現在83歳のフェアが2026年10月26日にロンドン・ヒースロー空港発シャーロット・ダグラス国際空港行きのアメリカン航空733便で「ラストフライト」に臨むことで、改めて人々の記憶に刻まれるだろう。
勤続年数63年6カ月という驚異的なキャリアを誇るフェアは、約3万人の客室乗務員が在籍するアメリカン航空の先任名簿第1位として現役を引退する。彼女より勤続年数が長い客室乗務員の女性2人がまだ正式には退職していないものの、すでに乗務を担当してはいないため、事実上の最古参だとフェアは語っている。
今月20日にインタビューに応じたフェアは、シャーロット~ロンドン線の初便について、小型機への乗務に始まり今やボーイングの大型ジェット機に乗り組むようになった自身のキャリアにおけるターニングポイントだったと回顧した。「とても興奮して、フライト前夜は一睡もできなかった」という。
「(双発プロペラ機のダグラス)DC-3から、(ボーイング)767へと乗機が変わったの。天国に召されちゃったのかと思った」
最終乗務では、フェアへのねぎらいと祝福を込めて、乗機を放水アーチで出迎える「ウォーターサルート」が行われる予定だ。航空業界では敬意や歓迎を示す一般的なセレモニーで、特にベテランパイロットのラストフライトではよく見られるが、客室乗務員にとっては珍しい栄誉となる。
「潮時です」とフェアは語った。「これまで、この仕事の一瞬一瞬を心から楽しんできました。3万人の中で1番になったんです。これより上はないのだから、そろそろ引き際でしょう」
フェアはノースカロライナ州とテネシー州で航空殿堂入りしている。また、シャーロット・ダグラス国際空港にあるサレンバーガー航空博物館には昨年、フェアのキャリアを紹介する展示が登場した。
テネシー州の航空殿堂に掲げられたフェアの顕彰プレートには、次のように記されている。「キャロル・フェアは、ピードモント航空がスチュワーデスとして女性の採用を開始して間もない1963年に、同社の客室乗務員となった。客室乗務員の権利擁護に尽力する活動家であり、かつて『Route of the Pacemakers(ペースメーカーの路線)』の愛称で南部の人々に愛されたピードモント航空の親善大使でもある。雑誌や新聞、テレビのインタビューでも取り上げられ、ピードモント航空のすばらしい歴史について語ってきた。2008年にはノースカロライナ州交通殿堂に選出された」
こうした栄誉について、「私は悪名高いの」とフェアはほほ笑む。



