ドナルド・トランプ米大統領は9日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談を経て、同国が「直ちに30万トン以上のディーゼル燃料(軽油)を米国を含む国際市場に供給する」と発表した。続いて11月には50万トン、12月には100万トンが供給される予定だ。トランプ大統領は、ロシアの精製施設の状況次第では「短期間のうちに」さらに300万トンが供給される見込みだと強調した。ロシア大統領府(クレムリン)も、「ロシア側は、米国を含む国際市場へ石油および石油製品を供給する用意がある」と表明した。
トランプ大統領の発表の直後、米財務省外国資産管理局(OFAC)のブラッドリー・スミス局長が一般ライセンス第135号に署名した。この措置は2027年4月7日まで有効となる。
米紙ニューヨーク・タイムズは3日、ウクライナ侵攻終結に向けた米国とロシアの協議で、ロシア石油大手ルクオイルを巡る数十億ドル規模の石油取引が議論の対象に含まれるようになったと報じた。同紙によると、プーチン大統領は9月5日にモスクワで行われた米交渉団との会合で、ルクオイルの海外資産売却について触れた。この取引には米政府とクレムリン双方の承認が必要となるが、実現すれば、世界各地にあるルクオイルの油田、精製施設、ガソリンスタンドが、米政府の関連機関を含む投資家に譲渡されることになる。同紙は、米交渉団はこの取引を、ロシアとの関係を構築しつつ、世界の原油価格を引き下げるための好機と捉えていたと伝えた。
米国がロシア産エネルギー資源に対する制裁を緩和したのは今回が初めてではない。米財務省は3月12日、既に船舶に積み込まれたロシア産原油と石油製品の販売を4月11日まで認める一時的な適用除外措置を発表した。この適用除外措置はその後、4月と5月にも更新されたが、6月に失効した。米ニュースサイト「ポリティコ」によると、イラン情勢に伴うホルムズ海峡の混乱が輸送に影響を及ぼす中、米国は国際市場に供給される石油の量を維持し、同時に原油価格の上昇を抑制することを目指していた。
ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始すると、西側諸国はロシアに対して制裁を科した。その目的は、ロシアの戦争資金調達能力を制限し、クレムリンに戦争終結を迫ることにあった。
西側諸国が標的とした分野の1つが、ロシアのエネルギー市場だった。米国は2022年3月、ロシア産原油、液化天然ガス(LNG)、石炭の輸入を禁止した。米エネルギー情報局(EIA)によると、米国によるロシア産原油と石油製品の輸入は、同年4月以降、事実上停止された。欧州連合(EU)と英国も同年12月5日にロシア産原油の海上輸送による輸入を禁止した一方で、精製石油製品については翌年2月まで輸入を認める措置を取った。西側諸国はそれ以降も、ロシアのエネルギー資源に対する制裁を維持しつつ、新たな制裁措置を講じ続けている。



