AIの普及により、限られた予算でスモールビジネスをマーケティングすることが容易になった。しかしその一方で、自社が印象に残らない存在になってしまう危険性もはらんでいる。スカイワード(Skyword)が発表した新たな調査によると、米国の成人の45%が、AIによる説明が似すぎていたために2つの企業のどちらを選ぶべきか迷った経験があるという。さらに、AIを用いた比較検索で最も強く印象に残ったものを尋ねたところ、企業名や製品名を覚えていた人はわずか26%にとどまった。
スモールビジネスはこの事態を警戒すべきだ。新しい製品やサービスを調べるためにAIツールを利用する消費者が増えるなか、ビジネスにおいてはAIの検索結果に表示されるだけでなく、表示された際に強い印象を残す必要がある。その理由を解説する。
常にすべての顧客が購買意欲を持っているわけではない
調査によると、ターゲット市場のうち購買モードにあるのは常時最大5%にすぎず、残りの95%は購買モードにない。つまり、オンラインで閲覧している人の大半が「購入」をクリックしないという驚くべき数字だ。だからこそ、消費者がいざ購入の決断を下す段階になったときに、自社が真っ先に思い浮かぶ存在(トップ・オブ・マインド)となるよう、ブランド構築に投資する必要がある。
問題の本質はAIそのものではない
ChatGPTやClaudeといったツールは、スモールビジネスのオーナーにとって非常に有用だ。ゴールドマン・サックスの報告によると、AIを利用している人の93%が自社ビジネスにプラスの影響があったと回答しており、84%が効率性と生産性の向上を最大のメリットに挙げている。
問題なのは、人間のチェックをほとんど介さずに、ありきたりなマーケティング資料をAIに作成させてしまうことだ。それにより、同業他社とまったく同じような印象を与えてしまうリスクが生じる。事実、スカイワードの調査では、消費者の49%が「異なる企業のウェブサイトやSNSの投稿、メールがよく似た印象を受ける」と回答している。そのため、AIが生成したコンテンツは必ず人間がレビューし、自社のブランドガイドラインやトーン&マナーに沿っているか確認すべきだ。
他社と差別化を図るための具体的なアプローチ
AIの検索結果にいつ、どのように自社ブランドが表示されるかを完全にコントロールすることは不可能かもしれない。しかし、独自性の高いオリジナルコンテンツを作成することで、AIが提示する情報の差別化を図ることは可能だ。以下に、そのための具体的な方法を紹介する。
1. 独自の視点を持つ
AIが自社についての意見を勝手に形成するのを待っていてはならない。ブログやSNS、その他のデジタルチャネルでコンテンツを制作する際は、個人の意見や体験を必ず盛り込むようにしよう。常識に捉われない独自の視点や、あえて通説に異を唱えるソートリーダーシップ(思考的指導力)コンテンツを発信することを恐れてはならない。業界のタイムリーで関連性の高いニュースに対してシンプルなコメントを寄せるだけでも、差別化につながる。
2. 顧客の声や第三者による言及を活用する
シーア・インタラクティブ(Seer Interactive)の調査によると、レビューサイトはAIが参照する情報源として2番目に多く引用されているという。そのため、自社サイトや第三者のレビューサイトに顧客の推薦文や口コミを集積し、測定可能な成果を示す事例研究(ケーススタディ)を蓄積していくことで、AIツールと顧客の双方に対して自社の信頼性と信用を示すことができる。
3. 独自のデータやインサイトを共有する
顧客にとって役立つ自社データをお持ちだろうか。オリジナルの調査、顧客アンケート、個人の経験から得られたインサイトなどは、自社にしか作成できないコンテンツだ。これらは競合他社との差別化に大きく貢献し、AIがどの企業にも当てはまるような一般的な情報ではなく、自社独自の情報を引用するきっかけとなる。
似たり寄ったりの情報が溢れる中で、目立つことを恐れてはいけない。それこそが人々の記憶に残り、新規顧客を惹きつける鍵となるのだ。ブランド独自の「声」に共感してくれるファンを獲得できれば、よりロイヤリティの高い顧客基盤を構築することにもつながるだろう。



