国立アルコール乱用依存症研究所のGeorge F. Koob所長は、点滴によって二日酔いの症状の一部は緩和するかもしれないが、お薦めする方法ではないと語る。
大量の飲酒による二日酔いと肝臓および脳へのダメージを避けるためには飲み過ぎないことが一番だ。しかし、飲み過ぎてしまった場合にはその日のうちに水を飲み、翌日も水を飲んで睡眠をとることが最善の方法だという。
安全な水が無料で手に入る環境にあれば、所長の薦める方法ならお金もかからない。だがハングオーバー・クリニックでは30分で1リットルの点滴を行って100ドル(約1万2,000円)、それでも足りない人には144ドル(約1万7,000円)のコースもある。
ハングオーバー・クリニックの共同設立者マックス・ペトロは「医師や看護師、救急医療隊員が何十年もの間、二日酔いの治療法として点滴を使ってきたのは、効果があるからだ」とEメールで回答した。
ライアン・フィリップやケリー・オズボーンといったスターたちも点滴でビタミンと水分を補給している姿が目撃されている。それでも点滴による二日酔いの治療は詐欺だという医療関係者もいる。
二日酔いを点滴で治療するクリニックは他にもある。アメリカのI.V.ドックは医療関係者を派遣して点滴療法を行っており、料金はハングオーバー・クリニックよりも高額だ。最低でも点滴1リットルで199ドル(約2万4,000円)かかり、含まれる医薬品がさらに多い2リットルの点滴は269ドル(約3万2,600円)だ。
ラスベガスにあるハングオーバー・ヘブンでの料金は129ドル~209ドル(約1万6,000円~2万5,000円)。それ以外にも45ドル~65ドル(約5,500円~7,900円)で針を使わない治療を提供しており、30分間の酸素マシーンや水分補給、飲む医薬品やサプリが含まれる。
「私たちは二日酔いで1日を台無しにしたくない人にプレミアムな治療を提供しているのです」とペトロは言う。「時間を無駄にしたくない人々に選ばれています」
だがKoob所長は、体内に直接物質を注入するのは極めて深刻な場合にのみ行うべきであり、点滴療法は危険をはらんでいると語る。ミスが起きれば血腫ができる恐れもあるという。「麻酔を投与する場合など、直接体に注入する必要性がある場合にのみ点滴を使うべきだ」