ChatGPTにヨセミテへの2日間の旅行で訪れる場所を尋ね、続けて翌週の寒さや靴ブランドの新製品について質問する。利用者自身は3つの質問を関連付けていないが、ChatGPTの広告システムは、会話の内容から旅行に適した靴への「関心を推測」し、広告候補を探す場合がある。
AIが推測する利用者の意図が、広告主の入札を左右する
OpenAIは米国時間2026年10月21日、ChatGPTに表示する広告を選ぶ仕組みを技術記事で公開した。中心となるのは、追加学習を施した言語モデル「オーケストレーター」だ。AIは会話の進行に応じて広告につながる需要が生まれたか判断し、「ハイキング旅行に適した靴」「旅行に使える靴ブランドの新商品」などの検索文を作って広告候補を探す。
広告の選定には会話の内容を利用するが、広告を選ぶシステムとChatGPTの回答を生成するシステムは別々に動く。OpenAIによれば、広告の内容がChatGPTの回答に影響しないよう、両方の処理を分離している。会話の内容から広告を選ぶことと、広告が回答内容を左右することは別の問題だ。
広告主にとって重要なのは、新しい広告形式よりも入札対象が変わることである。従来の検索広告では、利用者が入力した検索語に広告主が入札する。「ChatGPT 広告(ChatGPT Ads)」では、AIが会話から利用者の欲しいものを推測し、広告主は推測された需要に対して競い合う。
過去のやり取りも踏まえ、広告候補を絞り込む仕組み
従来の広告システムは、検索語の入力やウェブページの表示など、明確なきっかけに反応する。OpenAIのエンジニア、リテンドラ・ダッタとカーティク・ゴーパールラトナムは、チャットには同じような一瞬のきっかけが生まれにくいと説明する。利用者の目的はやり取りを重ねる中で具体化し、別々の会話にまたがる場合もあれば、買い物には結び付かない場合もある。
OpenAIは3つの仕組みを組み合わせた。第1に、広告選定用の処理が会話の状態を保持し、質問が送られるたびに文脈を切り捨てない。第2に、オーケストレーターが検索や評価に使う複数のツールを繰り返し呼び出す。第3に、広告を選ぶ処理とChatGPTの回答を作る処理を別々のサービスに分ける。
AIが広告候補を探し、オークションが表示する広告と価格を決める
広告技術としての基本的な流れは、従来の仕組みに近い。オーケストレーターは会話を1つ以上の検索文にまとめ、言葉の意味を数値で表す「埋め込み表現」に変換する。続いて「近似最近傍探索」と呼ぶ高速検索で、意味が近い広告候補を複数の検索用データから幅広く集める。商品情報を収めた検索用データには、購入者のレビューを考慮する仕組みもある。予算、広告費を使うペース、対象地域、掲載ルール、広告主ごとの上限などで候補を絞り、過去の実績から関連性や利用者の反応を予測する。
広告の最終決定はオーケストレーターではなく、広告オークションが行う。モデルの役割は、会話に適した候補を入札対象として提示するまでだ。オークションへの参加基準、広告の質を加味した順位、掲載価格、実際に表示する広告は、オークションで決まる。



