AIは人事業務の定型部分を取り込みつつある。しかし、AIが自動化できないのは、この職業にとって最も重要な仕事、すなわち組織の内側に希望を灯し続けることだ。
数週間前、私は500人の人事プロフェッショナルを前に基調講演を行った。この業界に入って1週間の人もいれば、40年のベテランもいた。講演を始める前に、私はシンプルな質問を投げかけた。「この1年の間に、あなたの仕事の大部分をAIが代替するだろうと言われた人は、どのくらいいますか?」
ほぼ全員の手が挙がった。
その不安が不合理だと言い張っても意味はない。AIは、何十年にもわたって人事を定義してきた定型業務の多くを取り込むだろう。選考、スケジュール調整、ポリシーに関する問い合わせ、福利厚生の管理などだ。しかし私は、この瞬間は人事の終わりではなく、むしろその解放であると考えている。ただし、この職業が自らについて、より良い物語を語る覚悟があればの話だ。
社内で最も残念な物語
人に奉仕するために存在する機能でありながら、人事は驚くほど非人間的な言葉を背負ってきた。「ヒューマン・リソース(人的資源)」。「ヒューマン・キャピタル(人的資本)」。私たちは、会計士がオフィス家具について語るのと同じ口調で、人について語っている。
言葉はアイデンティティを形づくり、アイデンティティは行動を形づくる。だから私は、その会場でこう問い直すことを提案した。あなた方は人的資源の管理者ではない。人間の可能性の解放者なのだ、と。
これは単なるブランディングの話ではない。私たちが突入しつつある時代の職務記述書である。機械が定型業務を担うようになるとき、代替不可能な人間の仕事は変革的なものとなる。人々が自らの仕事に意味、帰属、信念を見出す手助けをすることだ。そして今、その信念は不足している。
「希望のギャップ」が玄関から入り込んできた
私はこれを「希望のギャップ(Hope Gap)」と呼んでいる。私たちが恐れているものと、可能だと信じているものとの間に広がる亀裂だ。それは社会に現れ、いまやあらゆる企業の内部にも現れている。
ギャラップが52カ国で行った調査によれば、人々が自分の人生で最も影響力のあったリーダーに結びつける肯定的属性のうち、56%を「希望」が占めており、信頼、思いやり、安定性を大きく上回っている。希望は、フォロワーがリーダーに求める最も重要なニーズなのだ。
一方で、世界の従業員エンゲージメントはわずか20%にまで低下しており、ギャラップは、この無関心がもたらす生産性損失を約10兆ドル(約1570兆円)と見積もっている。世界のGDPの約9%にあたる規模だ。最も急激な低下が見られたのはマネジャー層、つまり戦略を意味へと翻訳する責任を担うまさにその人々である。
人間的側面におけるビジネス上の根拠も同様に明確だ。meQuilibriumの調査によれば、最も高いレベルの希望を持つ従業員は、燃え尽き症候群を経験する確率が74%低い。希望はウェルネスのおまけではない。組織が持つ最も強力なパフォーマンス・レバーの一つなのである。
私が知る最もシンプルな言い方はこうだ。希望は人を奮い立たせ、絶望は人を麻痺させる。希望のない戦略は、ただの計画書にすぎない。
文化の守護者、希望の守護者
経営幹部ならば誰もが、「文化は戦略を朝食に食べる」というピーター・ドラッカーの言葉を耳にしたことがあるだろう。しかし、ほとんど誰も付け加えないのが、この明白な帰結である。もし文化が企業で最も強力な力であるなら、誰かがそれを守らなければならない。
その「誰か」が、人事である。
1960年代のNASAについてよく語られる逸話がある。ケネディ大統領が宇宙センターを視察した際、ある清掃員に何をしているのか尋ねた。清掃員はこう答えた。「人類を月に送る手伝いをしています」。これは通常、個人の目的に関する物語として語られる。しかし誰もが見落としているのは次の点だ。その清掃員は、一人でその言葉にたどり着いたのではない。モップを持つ人物が月を見ることができるような文化を、誰かが築き上げたのだ。
これこそが、人事が最も力を発揮する仕事である。コンプライアンスではなく、つながりだ。一人ひとりの才能、情熱、奉仕の感覚を、組織という大きな物語に結びつけることである。個人の目的と企業の目的が一致したとき、得られるのは従順さではない。コミットメントだ。
人事が希望を灯し続けるための3つの方法
では、月曜の朝から具体的に何をすべきか。自社の希望の語り部になりたい人事リーダーのための、3つの実践的な一手を紹介しよう。
1. 希望の物語を狩りに行く
人事には、他のどの機能も持ち得ない組織の視界がある。昇進や復帰の物語が見えている。3階層下にいる、誰にも気づかれずに非凡なことを成し遂げている静かな英雄たちが見えている。これらは企業が所有する最も価値ある物語であり、そのほとんどは語られることがない。
これらを見つけ出すことを、意図的な実践にしよう。最も力強い希望の物語の主役は、CEOであることはめったにない。主役は、謙虚な英雄である。その人の姿が他のすべての人にこう語りかけるのだ。「あなたにも、これができる」と。
2. ストーリー・エンジンを築く
ほとんどの企業では、ストーリーテリングは偶然に起こる。タウンホールミーティングでの素晴らしい小話や、1日だけ回覧されて消えていく感動的なメール。希望は偶然頼みでは機能しない。
代わりに、仕組みを築くのだ。組織全体で物語を収集し、磨き上げ、流通させる定期的なリズムを作ろう。オンボーディング、全社会議、社内チャネル、マネジャー向けツールキット、評価面談を活用する。ストーリー・エンジンは、インスピレーションの孤立した瞬間を、信念の再生可能な源泉へと変える。
3. 花火とキャンプファイアを作る
文化には2種類の瞬間が必要だ。「花火」は、大きく華々しいものだ。年次の祝賀会、人々を涙させる表彰、全社会議で上映され、何週間も語り継がれる映像など。「キャンプファイア」は、小さく、温かく、繰り返される儀式だ。金曜日の勝利の共有、チームの物語の輪、会議冒頭の5分間、誰かがその週に希望を感じた出来事を分かち合う時間など。
両方が必要だ。花火は記憶を作り、キャンプファイアは帰属感を作る。多くの企業は一方だけに投資し、もう一方を怠って、なぜ輝きが薄れていくのかと首をかしげている。
物語こそがプロンプトである
AIの時代において、これはより重要性を減じるどころか増している理由がある。AIはプロンプトされた通りにしか実行しない。あなたの組織もまた同じだ。会社がどこへ向かっているのか、なぜ自分の努力に意味があるのかについて、人々が信じている物語こそがプロンプトなのだ。これを間違えれば、単に鼓舞できないだけでは済まない。間違ったものを、かつてない速さでスケールさせてしまう。
幸いなことに、人々はまだ耳を傾けている。エデルマンのトラスト・バロメーターによれば、政府やメディアへの信頼は失墜したが、自らの雇用主への信頼は、他のほぼどの組織よりも持ちこたえている。従業員は、自分の仕事に意味があり得るという考えを捨ててはいない。彼らが必要としているのは、その信念を支え続けるのに十分な力強い物語を語ってくれる誰かなのだ。
その「誰か」が、人事になり得る。
この職業の未来は、資源を管理することにあるのではない。可能性を解放し、文化を守り、希望を灯し続けることにある。これからの年月、機械は多くのことを担うだろう。しかし、ある一人の人間に、自分の仕事に意味があると信じさせること。それは決して、機械の仕事にはならない。
アフデル・アジズ(Afdhel Aziz)はConspiracy of Loveの共同創業者兼チーフ・パーパス・オフィサーであり、Forbesの寄稿者、ベストセラー『Purpose Trilogy』の著者である。希望に満ちたストーリーテリングを通じて「希望のギャップ」を埋めることについて、国際的に講演活動を行っている。



