労働市場の状況が変化するなかでも、多くの企業が依然として募集ポジションに適した候補者の獲得に苦戦している。募集要項に硬直的で長々とした要件を並べ立てると、企業は応募者の選択肢を狭め、優秀な候補者がその能力を発揮する機会を得る前にふるい落とされてしまう可能性がある。
どの採用要件が真に不可欠であるかを再考することは、成果や品質に対する期待値を下げることなく、雇用主に柔軟性をもたらす。以下では、フォーブス・ビジネス・カウンシル(Forbes Business Council)のメンバーが、基準の高さを維持しつつ人材プールを広げるために、企業が再検討すべき採用要件を共有する。
1. 完璧な履歴書へのこだわり
企業は完璧な履歴書を求める姿勢を改め、意欲、自己規律、学ぶ姿勢を重視して採用すべきだ。スキルは教えられ、経験は積むことができるが、仕事に対する姿勢(労働倫理)を教えるのははるかに難しい。私たちは成功が容易に手に入ることに慣れすぎてしまった。本当の成長には、依然として努力と粘り強さ、そしてそのために働く意欲のある人材が必要だ。─ ジャネット・リンリー(Marge Carson Global)
2. キーワードの完全一致への依存
キーワード検索で誰を面接するか決めるのはやめるべきだ。能力不足ではなく、単に履歴書が求人票の正確な文言と一致していないという理由だけで、有能な人材が不採用になるのを私は目にしてきた。顧客対応職と技術職では求められる強みが異なり、それらは文言ではなく人柄や教育可能性に宿る。ツールではなく、人物そのものを評価すべきだ。─ ムスタファ・ムーサ(Aethelgards)
3. 直線的なキャリアパス
直線的なキャリアパスを必須条件とすることを見直すべきだ。私が採用した最も優秀な人材のなかには、異業種での経験や変則的な経歴など、履歴書が一見「まとまりのない」人物もいた。従来の採用ではそうした経歴を懸念材料と見なすが、私は適応力の証と捉える。私の経験上、それは同じことを10年間続けることよりも重要な場合が多い。─ アサド・カウサル(Dabaran Inc.)
4. 同一業界での経験
まったく同じ業界での経験を求める条件は見直すべきだ。極めて優秀な人材のなかには、他分野でのスキルに加えて、好奇心や責任感、学ぶ意欲を持って入社してくる者もいる。実行能力の基準は高く保ちつつ、それをどこで習得したかについてはより柔軟であるべきだ。単なる見慣れた経歴ではなく、能力で採用すべきである。─ ヘザー・ベイカー(AY Media Group)
5. 地理的な近接性
優秀な人材が同じオフィスや同じ国にいなければならないという前提を見直すべきだ。広域に分散したチームを編成することは、近隣で採用可能な人材だけに限定しないため、むしろ人材の質を高めることが多いと実感している。取り払うべき要件はスキルや基準ではなく、居住地だ。最終的に目指すべきは、その役割に最も適した人物を採用することなのだから。─ アナンド・テイテッド(Pacific Group of Companies)
6. 固定化された実務経験年数
硬直的な経験年数の要件は再考すべきだ。ある職務にいた期間の長さが、必ずしも次のステップへの準備ができていることを意味するわけではない。実証された能力、判断力、適応力、成果を評価して採用するべきだ。基準そのものは高く維持しつつも、候補者がそれを満たすに至ったプロセスには柔軟であってよい。─ ケリー・シップマン(The Ship Group Holdings)
7. 離職期間のない経歴
企業は職歴のブランクを理由に候補者を排除する姿勢を見直すべきだ。介護やその他の個人的理由、あるいは燃え尽き症候群(医療現場でよく見られる)などの理由で離職し、復職しようとしている人材を不採用にしてしまうからだ。離職期間の理由や、その間何をしていたのかを問いかけるべきだ。信頼性は、切れ目のない経歴よりも、リファレンスチェックや90日間の業績評価期間によって正確に予測できる。─ ローリー・パンコー(Signature Healthcare)
8. 同一職種での経験
同じ業界でまったく同じ職務を経験したことを求める要件は撤廃できる。重要なのは姿勢、適性、そして能力だ。能力は後から習得できるが、姿勢や適性はそうはいかない。基準は高いままであるべきだが、決められたキャリアパスではなく、成果を出す能力に焦点を当てるべきだ。─ ケリー・アフーヤ(Versa)
9. 履歴書第一の選考
履歴書をどれほど重視しているか再考すべきだ。優秀な人物であっても、書面で自分をアピールするのが得意でない場合もある。資格が本当に必須でない限り、伝統的な経歴を歩んできたかどうかにとらわれるのではなく、リファレンス、思考プロセス、実際の成果をより重く評価すべきだ。─ ジェレミー・フリーズ(Humata Health)
10. 資格や肩書の要求
明確に定義していない職務の「安易な代用品」として資格を使うのはやめるべきだ。求人票を作成する前に、測定可能な成果、成果物、90日間の目標を明文化することだ。職務が明確になれば、肩書や経歴ではなく、意欲や能力で選考できるようになる。これにより採用を迅速化し、定着率を高めることができる。─ ジェイソン・シスネロス(Built To Exit)
11. 該当職種の実務経験
未経験者向け現場職で、豊富な実務経験を求めるのをやめた。代わりに信頼性、素直に学ぶ姿勢、身体的な準備状態を評価し、技術スキルは自社で教育するようにした。スキルは教えられるが仕事への姿勢は教えられないため、品質を落とすことなく応募者層を大幅に広げることができた。─ ブラッド・ストローブリッジ(Capital City Roofing LLC)
12. 大学学位の必須条件
実証された能力、関連する経験、確かな実績によって候補者の適性を判断できる場合、企業は大卒資格の要求を見直すべきだ。スキルベースの採用は基準を下げるものではなく、むしろ基準を満たすための選択肢を広げるものだ。単にどこで学んだかではなく、成果を出せるか、問題を解決できるか、組織とともに成長できるかに着目することで、人材プールを拡大できる。─ シェキーサ・デイヴィス(S Davis Law Group)
13. 確立された人脈の保有
創業初期、私は人脈を持った営業担当者を望み、高い報酬を支払っていた。しかし、そうした紹介関係は他社の製品を売るために構築されたものだったため、転職後に機能したものはほとんどなかった。成果を上げたのは、自社の市場でゼロから顧客開拓を行える担当者だった。私は既存の名刺帳にお金を払うのをやめた。─ スネハル・ニムジェ(Outdoo AI)
14. 完璧な専門スキルセット
企業が見直すべき採用条件の1つは、候補者があらゆる専門スキルをすでに持っているか、特定の経験年数を満たしていなければならないという思い込みだ。これは基準を下げることを意味しない。代わりに、候補者の態度、学ぶ姿勢、適応力を評価すればよい。専門スキルはトレーニングによって習得できる場合が多いが、適切な態度や学ぶ意欲がなければ、どれほど優秀な資格を持つ従業員でも苦戦することになる。─ ニジレ・ブワナ(Reveurse Tanzania Company Limited)
15. 初日からの完全即戦力化
あらゆる能力が履歴書に記載されていることを求めるのはやめるべきだ。当グループでは人手不足に対応するためにAIを導入しており、経験の浅い採用者を厳格な研修を通じて育成することを好んでいる。企業は最低経験年数を見直すことができるが、人材を活躍させるシステムに投資しなければならない。AIは業務をサポートできるが、基準を下げたり責任を免除したりするものではない。─ ショーン・L・ダベンポート(Genwealth 360 Inc.)
16. 「即戦力」への過度な期待
採用したすべての人物が「すぐ結果を出すこと(即戦力化)」を求める姿勢は見直すべきだ。その条件は、将来の課題とともに成長する能力よりも、現状のツールやプロセスへの習熟度を優遇することになりがちだ。成果の基準は高く保ちつつも、候補者の学習スピード、フィードバックの吸収力、未知の課題への対処能力、経時的な改善力を評価すべきだ。急速に変化する職務においては、初日の完璧な対応力よりも、学習速度と判断力のほうが価値が高い。─ ピン・リウ(Ativafit AI Inc.)
17. 高度な学歴の要求
学歴の高さは過大評価されがちだと感じている。修士や博士などの高度な学位を持っていなくても、主体的に関連経験を積み、職務スキルの適性と学習能力の両方を示しているなら、優れたチームメイトになる十分な素質を備えている。─ タイラー・ジョーダン(Jordan Digital Marketing)
18. 既存知識の保有
既存の知識よりも、生まれ持った好奇心を重視して採用している。これは採用において最も重要な質だと信じているため、以前にも執筆したことがある。ビジネス、技術、職務が絶えず変化する世界では、すでに知っていることよりも、疑問を持ち学ぼうとする姿勢のほうが重要だ。スキルは教えられるが、自然な好奇心を教えるのははるかに難しい。これこそが、採用された職務が必然的に変化した際に、人材を適応させる源泉となる。─ ミシェル・コープマン(CxO Coaching)
19. 従来の雇用・勤務形態
再考すべき条件は、通常、履歴書の内容ではなく職務の「形態」だ。フルタイム、出社前提、正社員といった条件は、学位の欠如以上に有能な人々をふるい落としてしまう。職務をパートタイムやプロジェクト単位に分割したり、通勤圏外にも枠を広げたりすれば、求めるパフォーマンス基準を維持したまま、条件を満たす人材プールを飛躍的に広げることができる。─ アブデルアハド・バルブール(Ostia Sciences Inc.)



