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経営・戦略

2026.10.24 07:09

誰もが直視を避ける最大の問題は「データ戦略」だ

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「群盲象を評す」という有名な寓話をご存じだろう。5人の盲人が初めて象に出会う。1人は鼻をつかんでヘビだと言い放つ。もう1人は脚に触れて木の幹だと言う。3人目は耳に触れて扇だと主張する。4人目は牙を見つけて槍だと決めつける。最後の1人は尻尾をつかみ、縄に違いないと確信する。

全員が真実を語っている。そして全員が完全に間違っている。

企業の経営幹部とデータについて話すとき、私は常にこの寓話を思い出す。マーケティング部門に「顧客とは何か」と尋ねれば、彼らはクリック率を指さして「顧客とはエンゲージメントそのものだ」と言うだろう。営業部門に尋ねれば、購買履歴を引っ張り出して「いや、取引こそが顧客だ」と言う。財務部門は顧客ごとの売上を示し、顧客の収益性や顧客生涯価値(LTV)こそが顧客だと主張するだろう。カスタマーサービス部門は苦情ログを持ち出し、顧客とは率直に言って「管理すべき問題」だと答えるはずだ。

誰も嘘をついてはいない。全員が同じ動物の異なる部分、あるいは真実の異なる側面を捉えているにすぎない。こうした事態が起きる理由は、各部門のデータが独自のシステムの中に閉じ込められており、顧客の全体像やビジネスの全容を把握できる者が誰もいないからだ。

何十年もの間、これでも会社は生き残ることができた。意思決定を下すのは人間であり、人間は火曜日の会議で不完全な全体像を前にしても何とか切り抜けるのが得意だからだ。誰かが議論し、誰かが妥協し、企業は「これで十分」と思えるバージョンの真実に基づいて前進する。だが、意思決定の権限をAIエージェントに委ねた瞬間、そのセーフティネットは消え去る。

リスクのレベルが一変した理由

エージェントは火曜日の会議には参加しない。与えられたいかなるデータであれ、同僚から「待てよ、それは私が把握している情報と合わないぞ」と指摘されることもなく、マシンスピードで行動を起こす。営業用エージェントとマーケティング用エージェントが、同じ顧客に対して2つの異なる定義に基づいて最適化を行っている場合、生まれるのは健全な議論ではなく、同じ日にその顧客の受信トレイに届く矛盾したオファーだ。

数値を見ても、ほとんどの組織にその準備ができていないことがうかがえる。ガートナーの試算によると、基盤となるデータが「AI対応(AI-ready)」になっていないため、AIプロジェクトの60%が2026年までに放棄されるとみられ、組織の63%はAIをサポートするための適切なデータ管理手法を欠いているか、自社にそれがあるかどうか確信が持てずにいる。自律型(エージェンティック)AIの側面では、デロイトの2026年の調査で、実際に自律型AIを運用環境で稼働させている組織はわずか11%にとどまることが判明した。レガシーシステムとの不適合が理由に挙げられており、2027年までに自律型AIプロジェクトの40%以上が失敗すると予測されている。また、ある業界調査では、ITリーダーの95%がAI導入の最大の障害として統合のギャップ(不足)を挙げている。一般的な大企業が900近いアプリケーションを運用しており、互いに連携しているのは約4分の1にすぎないことを考えれば、これは驚くべきことではない。

こうした課題はどれも目新しいものではない。クラウドというバッジを付けた「ファイルキャビネット問題」にすぎないのだ。1898年にエドウィン・セイベルズが縦型ファイルキャビネットを発明したとき、すべての部門が独自の情報コレクションを保持するようになった。1世紀後、私たちはファイルキャビネットをデジタル化してCRM、ERP、データウェアハウスに置き換えたが、部門間の壁はほとんどそのまま残された。象が小さくなったわけではない。私たちは一度に象の一部だけに触れるための、より巧妙な方法を構築したに過ぎないのだ。

「動物の全体像」を捉える

解決策は、単にパイプ(データパイプライン)を太くすることではない。重要なのは、何層にもわたって周到に築き上げられた「信頼」だ。つまり、正確で最新のデータ、すべての数値の由来を示す明確な系譜(データリネージ)、そして新しいシステムごとに毎回再定義されるのではなく、データとともに移動するアクセス権限である。これらを正しく機能させれば、思いがけない場所から価値が生み出されるようになる。

シュナイダーエレクトリックは、20以上のシステムを統合した際にこのことを実感した。Salesforce、Oracle Fusion、見積もりツール、Eコマースが、絶えず更新される1つの顧客記録へと統合されたのだ。新規顧客の登録認証は5分未満で完了するようになり、サイロ化されたシステムによって誤って「非アクティブ」とマークされていた数百万もの「失われた」顧客が判明。広告費を1ドル(約1万未満円)も新たにかけることなくパイプライン(見込み顧客)を拡大した。

データ基盤を整えることの真の価値はここにある。単に組織図をきれいに整理することではなく、部分的な解釈について議論するのをやめ、組織がようやく「全体の真実」に基づいて行動できるようになることだ。

要点

自社組織がAIエージェントにより多くの意思決定を委ねる前に、「盲人たち」の質問を正直に投げかけてみよう。「社内に、象の全体像を実際に把握している人はいるだろうか?」と。もし答えが「いいえ、しかし各部門は自分たちの担当領域に自信を持っています」であるなら、それはテクノロジーのギャップではない。戦略上のギャップであり、それこそが真っ先に埋めるべき隙間なのだ。

(forbes.com 原文)

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