新たな役員が組織に加わる際、その移行プロセスは通常、その人物個人の責任とみなされる。新任リーダーはオンボーディング計画を受け取り、主要な利害関係者と面談し、迅速に学習して信用を築き、結果を出し始めることが期待される。
一方、既存の役員チームは、単に空席が1つ埋まったかのように運用を継続する。
しかし、就任前に存在していたチームはもはや存在しない。1人の新任役員が加わることで、会議の場における人間関係は変化する。その着任は、誰が影響力を持つか、情報がどのように伝達されるか、決定権がどこにあるか、そして各部門の優先事項がどのように注目を競い合うかに影響を及ぼす。組織図の他の部分に手が付けられていなくても、リーダーシップのシステムそのものが変化したのだ。
役員のオンボーディングは、リーダーが組織に加わるのを支援する。一方、役員チームの「アシミレーション(適応・統合)」は、リーダーシップのシステムが新たな現実に合わせて再編されるのを支援する。筆者はその取り組みとして、「見る(See)」「設計する(Design)」「動く(Move)」「維持する(Sustain)」という相互に関連する4つの実践アプローチを推奨している。これらは、アシミレーションを硬直した手順にすることなく、一定の枠組みを提供する。
1. 見る(See):役割だけでなくシステムを理解する
多くの組織では、垂直的な責任範囲は明確である。各役員は自身が率いる部門と、自らが責任を負う成果を把握している。あやふやになりがちなのは、通常、水平方向の責任だ。
2つの部門が同一の成果を共有しながらも、異なる時間軸で動いている場合はどうなるか。企業全体の優先事項と部門レベルの業績が衝突した場合、誰が判断を下すのか。単なる「相談」が「承認」に変わる境界線はどこにあるのか。ある役員は、他の役員の成功に対してどのような責任を負うのか。
こうした質問は、役員のパフォーマンスが破綻しやすいポイント、すなわち自らの業務が他者の業務と重複し、責任が共有されている場所を特定するのに役立つ。
効果的なアシミレーションのプロセスは、新任役員、その上司、同僚、直属の部下、重要なパートナーを交えた機密性の高い対話から始まる。その目的は、新任リーダーに対する印象を集めることにとどまらず、そのリーダーが参入するシステム、すなわち歴史、依存関係、繰り返し生じる摩擦、非公式な影響力、そして暗黙の期待を理解することだ。
新たな役員の就任により、誰の意見が尊重されるか、誰が早期に情報を受け取るか、あるいは誰が主導権が移ったと感じるかが変化する可能性がある。こうした力学の変化は移行期において正常な現象だ。これらをオープンに話し合うことで、チームは建設的に対処できるようになる。
2. 設計する(Design):思い込みを共通の合意に変える
役員チームは、実際には足並みが揃っていない段階でも、一見すると足並みが揃っているように見えがちだ。メンバーは好意的で、会議は和やかに行われ、新任リーダーが職場に馴染むまでの間、初期の意見の相違は和らげられる。新任役員は沈黙を同意と受け取るかもしれないが、懸念事項は個別の裏の会話へと移行していく。
新任役員は自身のミッションが決断の迅速化にあると考えているかもしれない一方で、チーム側は確立された慣行を変更する前に合意形成を図ることを期待している場合がある。これらの期待が言語化されないまま放置されると、一方の側は抵抗を感じ、もう一方の側は疎外感を抱くことになる。
アシミレーションの目的は、即座に調和を生むことではなく、建設的で率直な議論を引き出すことだ。
ファシリテーターを置いたチーム対話を行うことで、メンバーは事前の状況把握で収集されたテーマを検討し、今後の連携方法を設計できる。その際の問いは、単なるリーダーの好みの域を超えるものであるべきだ。
• 部門間に跨がる重要な業務において、責任の所在が曖昧になるのはどこか。
• 組織図上の関係を超えて、意思決定や影響力はチーム内でどのように伝わっているか。
• 本来はチーム全体で解決すべき問題であるにもかかわらず、新任役員個人の解決に依存してしまうリスクはないか。
• 部門の成功と全社的な成功の方向性が対立する場合、何を指針として判断を下すのか。
• 会議終了後に陰で行われている会話のうち、本来なら会議の場でなされるべきものはどれか。それを実現するために私たちは各自何を改善すべきか。
目指すべき成果は、具体的で小規模な実務上の合意のセットだ。「部門を超えて協力する」というのは単なる意図の表明にすぎない。「提案を最終決定する前に、影響を受ける部門を巻き込む」といった合意こそが、具体的な行動の指針となる。
3. 動く(Move):実際の業務の中で合意を検証する
新任役員は、自らの担当部門内で達成できる成果を示しているだけだろうか。それとも、役員チーム全体が企業をより効果的に率いていけるよう貢献しているだろうか。
新任役員は早期の成果(アーリーウィン)を出すよう促されることが多い。しかし、特定部門における成果は個人の信用を高める一方で、他部署に負担を強いる場合がある。ある領域でプロセスを高速化した結果、別の領域に負担が転嫁されることもある。新たな優先事項が、すでに進行中の全社的な取り組みと衝突する可能性もある。
真に望ましい初期の成果とは、システム全体を強化するものだ。例えば、共通の取り組みにおける責任体制の明確化、組織横断で繰り返し生じる障壁の除去、あるいは重要な意思決定プロセスの改善などが挙げられる。洞察は、実際のビジネス環境下でチームによって活用されたときに初めて価値を持つ。
チームは最初の90日間に、少なくとも1つの重要な優先課題に対して、新たな合意事項を適用してみるべきだ。実際の業務を通じてこそ、意思決定権が明確か、情報が十分に早く伝達されているか、そして信頼関係を損なうことなくメンバー同士が意見を交わせるかが明らかになる。
4. 維持する(Sustain):新たなチーム体験を測定・定着させる
アシミレーションは、対話セッションが終わった後も継続すべきである。30日後および60日後に、チームは自らの行動を振り返り、以下の点を問い直す必要がある。
• 重要な課題がより早い段階でチームに共有されているか。
• 部門が交差する領域での意思決定がより明確になっているか。
• 意見の相違がより直接的に議論されているか。
• 各役員が全社的な成果に対して当事者意識(共通の責任感)を示しているか。
• リーダーとチームは、互いについて学び得たことに合わせて対応を調整できているか。
これらの問いは組織の文化も浮き彫りにする。新任役員は「結果」を通じて文化を学ぶ。すなわち、誰かが前提に疑問を投げかけたとき、言いにくいリスクを指摘したとき、立場を変えたとき、あるいは自部門の都合よりも全社的なニーズを優先したときに、何が起きるかによって文化を把握するのだ。
90日間で役員の移行プロセスが完結するわけではない。しかし、その後のすべてを形作る人間関係、明確性、そして運用の規律を確立するには十分な期間である。



