Forbes JAPAN 2026年12月号は、AIで人的資本を拡張している「本当に強い会社」2026特集。今回、Forbes JAPANは東京証券取引所に上場している企業のうち、分析に必要なデータを取得できた3,531社を対象に、AIを自社の売上高や利益に結びつける「実装力」を評価する「拡張人的資本ランキング」と、AIやDXへの投資が将来の収益化につながる可能性の高さを評価する「AI/DX先行投資力ランキング」を作成した。AI時代に、「本当に強い会社」とは、どんな企業なのか。上位企業を率いる経営者たちの言葉と具体的な取り組みから、その条件を解き明かす。
「金利のある世界」を迎えた日本で、銀行業界の株価トレンドを完全にアウトパフォームする群馬銀行。マイナス金利時代から「先手必勝」を貫いてきた群銀トップが描く、未来の銀行の姿とは。
2026年9月18日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を1.25%に引き上げると決めた。6月以来3カ月ぶりの追加利上げである。
一般的に、利上げは貸出金利の引き上げを伴い、銀行の収益環境の改善と株価の上昇につながる。そんななか、業界トレンドを完全にアウトパフォームしている地方銀行がある。深井彰彦頭取が率いる群馬銀行だ。
深井が頭取に就任した19年6月25日時点の株価(始値)は381円。一方、26年9月18日時点の株価(終値)は2,999.5円と、7年でおよそ8倍に上昇している。時価総額は、かつての1,700億円規模から今や1兆2,700億円規模に膨れ上がっている。PBR(株価純資産倍率)は約1.9倍で、地銀のなかで1、2を争う高さだ。
勝敗を分けた要因は金利そのものではなく、深井の経営判断にある。マイナス金利政策下から法人向けコンサルティングといった非金利業務の利益拡大や業務の効率化など、収益構造の抜本改革を図ってきた。法人向け貸し出しの約半分を市場金利に連動する変動金利での取り扱いとし、金利上昇局面で利益が伸びる体質に変えたことも収益向上に貢献した。
加えて、深井が重視してきたのがRORAの向上だ。RORAとはリスクアセット利益率のことで、企業への貸し出しなどのリスクに対してどれだけ収益を上げられているかを示す数値である。
RORAが低くなりやすい資産の代表例が、中小企業向けの貸し出しだ。地域の持続性に欠かせない大事な業務である半面、再生可能エネルギー関連のプロジェクトファイナンスや住宅ローンなどに比べてリスクが高い。そこで、深井は融資先となる各中小企業の信用格付を参考に、採算目標である「標準利益率」を設定し、融資の際の共通のモノサシとして本部と営業店に共有。各行員がRORAの向上に取り組めるようにした。
「理屈では誰もがわかっている」(深井)ことを地道に、徹底してやり抜いた。結果は、数字を見れば明らかだ。25年度の非金利業務利益は7期連続で過去最高水準を更新。投資信託の解約に伴う損益を除いたコア業務純益は、19年度の300億円から711億円と約2.4倍に増加した。



