米国時間10月22日、モデルナの株価が25%急落した。開発中のがんワクチンについて、第3相臨床試験(フェーズ3。承認申請に向けた最終段階の試験)のデータが流出した可能性が浮上し、売りが一気に広がった。シティグループはこれに先立ってモデルナ株の投資判断を引き下げ、ワクチンの試験で最初に出た良好な結果によって、同社の株価は「説明のつかない」水準にまで押し上げられていると指摘していた。
モデルナ株は米国東部時間10月22日午後2時ごろ、26%安の181.14ドル(約2万8439円)をつけた。このワクチンをモデルナと共同で開発した米製薬大手メルクの株も、約2%下落した。
報道によると、モデルナの治療用がんワクチン(がんの予防ではなく、治療に使うワクチン)の第3相試験の結果が、正式な発表を前に、医療ニュースサイトのOncology Central(オンコロジー・セントラル)に一時的に掲載され、すぐに削除された。モデルナ株の下落は、そのあとに起きた。
この結果は本来、マドリードの学会で現地時間10月24日に発表される予定だった。内容は良好だったが、流出前に高騰していた株価に見合うものかどうかを投資家が見きわめるなかで、株価は値を崩した。メルクはその後、米国時間10月22日午後に出した発表資料で、主な数値を公表した。このワクチンをメルクの免疫療法薬キイトルーダと併用すると、キイトルーダだけの場合に比べて、再発または死亡のリスクが42%下がったという。
この急落で、モデルナの時価総額のうち200億ドル(約3兆1400億円)近くが消えた。
モデルナの株価は、8月に第3相試験の良好な結果を初めて発表して以来、目覚ましい上昇を続けてきた。とはいえ、その勢いがいつまでも続くとは考えにくい。同社の発表によると、再発の危険が高いメラノーマ(悪性黒色腫。皮膚がんの一種)を対象とする個別化がんワクチン「インティスメラン」(intismeran)をキイトルーダと併用したところ、キイトルーダだけの場合に比べて、がんの再発や、肺、肝臓、脳といった離れた臓器への転移の可能性が大きく下がったという。
モデルナ株は発表を受けてすぐに急騰し、発表前日の米国時間8月18日から10月21日までに290%上昇していた。
シティグループのアナリスト、ジェフ・ミーチャムは米国時間9月30日、モデルナ株の投資判断を「中立」から「売り」に引き下げ、急騰した株価には「説明がつかない」と述べた。シティによれば、格下げ前の株価に見合うには、モデルナはがん領域で年間約130億ドル(約2兆410億円)の売上高を上げる必要がある。ところが、シティが財務モデルで試算したところ、実際に見込める売上高はその数分の一にとどまった。シティは、高騰した株価は、事業が現実的に生み出せるキャッシュフローから導かれる水準の7倍近くに達しているとした。



