丹念に作り込んだSNS投稿も、Instagramではフォロワーの3.2%、Facebookでは1.25%にしか届かないのが実情だ。これに対し、メールの到達率ははるかに高い。およそ85%のメールが受信トレイに届き、ニュースレターの平均開封率は20.73%に上る。別の言い方をすれば、Instagramフォロワー1000人、ニュースレター購読者1000人を抱えている場合、Instagramの投稿はおよそ30人にしか届かない。一方、小規模ビジネスのニュースレターは約850件の受信トレイに届き、207人がそれを開封する計算になる。
到達率はほんの入り口に過ぎない。ニュースレターは、SNSにはない3つの価値を小規模ビジネスにもたらす。より親密な空間、深みを持たせられる余地、そして読者との持続的なつながりだ。
小規模ビジネスのニュースレターがSNSにできないこと
ニュースレターはより親密である
SNSへの投稿は紙吹雪をまくようなものだ。狙った相手に届くこともあれば、多くは風に流されて消えてしまう。一方、ニュースレターへの登録には、メールアドレスを意図的に差し出すという行為が必要となる。登録のポリシーが倫理的で規約に則ったものであれば、読者はSNSよりもはるかに小さく親密な仮想空間、すなわち自分の受信トレイに、明確な意思をもってあなたを招き入れているのだ。
ニュースレターは一過性より深さを重視する
SNSは絶えずコンテンツを投入し、キレのあるテキストや目を引く画像を求められる。それに対しニュースレターは、より深い内容を扱える。SNS特有のスピード感や一過性に悩まされているなら、意図を込めて、やや長めのニュースレターを書くほうが、はるかにインスピレーションを得られる作業に感じられるはずだ。
ニュースレターでは形式面での実験も自在だ。グリッド上の「画像+キャプション」という定型にとらわれず、全文テキスト、全画像、全動画、全音声、あるいはそれらの組み合わせといった構成が可能になる。1通のニュースレターで、ビジネスの舞台裏を手短に紹介し、さらに顧客がその場でクリックして飛べる新サービスの告知もできる。顧客体験を画像と文章で捉え、読者にスワイプを強いることなく複数の画像を簡単に追加することも可能だ。より深く、より広く、自身のビジネスとその提供価値の物語を本当の意味で伝えられる。
ニュースレターはコミュニティとロイヤルティを築く
優れた小規模ビジネスのニュースレターは、単なるお知らせや宣伝のツールにとどまらない。ストーリーを語り、読者と配信者の間に確かなつながりを築くものだ。人はストーリーを好む。そしてストーリーは、マーケティングにおいても大きな効果を発揮する。
ストーリーは信頼とコミュニティを生む。マーケティングのメッセージが絶え間なく降り注ぐ今の時代だからこそ、生身の人間が書いた本物のストーリーは際立つ。たとえば、自身のビジネスとは一見無関係に思えるかもしれないが、ニュースレターの読者が「この書き手は観葉植物をたくさん育てている」と覚えてくれていることは、親しみを生み、より強く記憶に残してもらうきっかけになる(そしていつも「私も観葉植物が大好きなんです!」と話しかけてくる新規クライアントにもつながっている)。
ニュースレターは、自身のビジネスのストーリーを自分で形づくる手段となる。見込み客も既存顧客も、ウェブサイトを訪れるのはせいぜい1、2回にとどまることが多いが、定期的なニュースレターがあれば、新しい商品やサービス、そしてビジネスの背景にあるストーリーを伝えながら、相手の意識の中に自分のビジネスを留め続けられる。人の記憶に残り、つながりとロイヤルティを育むのは、まさにこうしたビジネスの根底にある価値観や、他にはない独自性だ。元顧客やクライアントの体験談は、「あなたの提供するものは自分のためのものだ」と読み手に実感させる助けとなる。そして、どのように伝えるかが、読者がビジネスに対して抱く感情を決める。こうした感情は、ビジネスにまつわる事実よりも長く残り、購入するかどうか、いくら払うかの両方に影響を及ぼす。
ニュースレターの作成はSNSの投稿よりも時間がかかるかもしれないが、その手間に見合う価値以上をもたらすマーケティングツールだ。SNSと併用するにせよ、SNSの代わりに使うにせよ、その効果は大きい。ニュースレターの立ち上げはかつてなく容易になっており、今月こそ最初の1通を送らない理由はほとんどないはずだ。



