先週末、東京で開催された「ポータブル・オーディオ・フェステティバル」で、関係者から得た証言として、ニュースサイトのVergeとAppleInsiderは次のように伝えた。
「アップルは2016年のアップルミュージックへのハイレゾ音源導入に向けて、ヘッドフォンメーカーらと協議に入った。同社は96キロヘルツ/24ビットの高音質サウントのストリーミング配信を計画している」
さらに興味深いことに「ハイレゾ音源の配信に関しては、ライトニング端子に接続するヘッドフォン専用とする」という。iPhoneのヘッドフォンジャック廃止に関しては、ユーザーの反発も予想されるが、何かを切り捨てて、別のメリットを提供するのはアップルの常套手段でもある。
かつてアップルはiMacにおいてフロッピーディスクを廃止し、FireWireを導入した。今年発売された新型MacBookでは外部ポートをUSB Type-Cのみとした。ヘッドフォン端子を切り捨てる見返りとして、アップルはユーザーにハイレゾ音源を提供するというのだ。
実用面で言うとヘッドフォン端子廃止により、空いた空間をバッテリー容量の拡大に充てられるほか、端末をさらに薄いものにできる。さらにはiPhone7を防水仕様にすることも想定される。
アップルは既にライトニング対応ヘッドフォンの大宣伝を行っている。JBLやフィリップス、そしてビーツ等の製品は今やアップルストアの看板商品の一部だ。今月初旬にはAUDEZE(オーデジー)のチタニウム制ヘッドフォンEL8が約800ドルで発売された。ライトニング対応ヘッドフォンはアップルにとって間違いなく、利益が見込める市場だ。
ヘッドフォンジャックの廃止により、アップルはデバイスへの支配力をさらに強める。ヘットフォンメーカーからはライトニング使用のライセンス費用を徴収するほか、ライトニング連携させたヘッドフォンから時間やロケーション情報を取得し、新たなサービスを構築することも可能だ。
ライトニング対応のヘッドフォンを購入したユーザーらは、アップルのエコシステムに、さらに強力に組み込まれる。従来のヘッドフォンにも対応させるため、アップルは抜け目なく、変換アダプターも発売するだろう。充電はどうするという疑問も浮かぶが、この問題はワイヤレス充電の導入が解決するだろう(これは、有料オプションとして提供される可能性もある)。
ヘッドフォンジャックの廃止はユーザーに不便を強いるが、防水仕様やハイレゾ音源、さらなる薄型化、そしてワイヤレス充電という便利さを提供することで、アップルはユーザーらを説得しようとしいている。アップルがiPhone 7でこれを実施するかどうかは不明だが、ヘッドフォンジャックの廃止が時間の問題であることは間違い無さそうだ。