「自分の価値観を再確認するワーク」が、最近どこでも流行しているようだ。自身の価値観を明確に言語化できることは有益だが、上司との人事評価の面談に臨んで「私の重要な価値観の上位2つは『誠実さ』と『好奇心』です」と言ったところで、昇給につながる可能性は低いだろう(もちろん、そう発言すること自体は自由だが)。では、そうした価値観をどのように活かせば、昇進や昇給、セルフプロモーション、あるいは転職の成功へとつなげられるのだろうか。
答えは、価値観を知っているだけでは不十分だということだ。必要なのは、リーダーシップ・ビジョン・ステートメントである。リーダーシップ・ビジョン・ステートメントとは、自分の価値観がどのように行動へと変換されるのかを明確にする短い文章だ。未来志向であるべきだ。優れたステートメントは、人々がすでにあなたについて知っていることと一致しながら、その評判を言語化し、より高い視座へと引き上げる。本質的には、極めて優れたパーソナルブランドのマーケティングである。
リーダーシップ・ビジョン・ステートメントはLinkedInプロフィールに掲載すべきだが、さらに強力なのは、上司との1on1、昇進や昇給の交渉、新しい同僚への自己紹介の場で活用することだ。
このステートメントは、自分の価値観や他者からの見え方について、あなたが自覚的であることを示すものだ。そしてその自己認識は、あなたのリーダーシップや働き方に一貫して反映される。やがて、それは誰もが知るあなたの特徴となり、周囲が明確に説明できるものになっていく。こうして価値観は、認識されるリーダーシップ・ブランドへと変わり、あなたより先に伝わる評判を築いていく。
職場での評判は重要だ。リーダーシップ・ビジョン・ステートメントは、自分がどのようなリーダーであり、どう知られたいかを明確にすることで、その認識を意図的に形づくる手段となる。それだけでなく、このエクササイズに取り組むこと自体が、自分が何で知られたいかを深く考える良い機会にもなる。
以下に、自分のステートメントを作る方法を紹介する。
強いリーダーシップ・ビジョン・ステートメントの4つの要素
1. 人についての信念
これはあなたの人間観であり、必ず一人称で書く必要がある。具体性を持たせよう。たとえば、「私は、誰もが世界に通用する製品を作りたいと願っていると信じている」といった具合だ。
2. あなたの世界で何が懸かっているか
この信念があなたの業界や専門領域とどう結びつくかを、その信念が欠けたときに何が起きるかを示すことで表現する。この部分があるからこそ、ステートメントは一般論に陥らない。たとえば、「人が安心して発言できないとき、憶測が生まれる。その憶測はビジネスにとって危険だ」といった表現だ。
3. その信念から、どうリードしているか
信念に基づく具体的な行動を1つか2つ挙げる。チームメンバーがその行動から「あなたらしい」と認識できるほどの具体性が必要だ。たとえば、「私は常に透明性をもってリードする。チームに開示できることがあれば、必ず開示する」といった形だ。
4. あなたが築こうとしている未来
あなたのリーダーシップによって、チームや部門に何が変わるのかを描く。これが、価値観の宣言をビジョンへと転換させるステップだ。たとえば、「人が仕事に必要なすべての情報を持てば、互いを信頼し、職場でより幸せを感じ、優れた成果を生み出す」といった具合だ。
さまざまな業界の例
レストラングループのエグゼクティブシェフなら、高い基準は敬意の一形態であるという考えを軸に、ステートメントを作るかもしれない。
「私は、ほとんどの人は、誰かに求められてきた以上のことを成し遂げる力を持っており、高い基準を求めることは、リーダーが示せる最も敬意ある行為の一つだと信じている。厨房では、曖昧な称賛と遅すぎる批判が才能を浪費し、優秀な料理人を消耗させる。私は現場でリアルタイムにフィードバックし、あらゆる基準の背後にある理由を説明し、在籍期間の長さではなく、何を学んだかに基づいて人を昇進させる。私の厨房を去るすべての料理人が、自分の店を率いる準備ができている状態にしたい」
キャリアコーチなら、人は仕事で幸せを感じるに値するという考えを、すべての軸に据えるかもしれない。
「私は、すべての人には、自分の仕事と、その仕事が人生の中でどう位置づけられるかについて、喜びを感じる権利があると信じている。多くの場合、『こうすべき』という思い込みが支配し、人は幸福よりも、見栄えのよさそうなキャリアパスを選んでしまう。私はクライアントとともにそうした信念を解きほぐし、より自分に合ったキャリアに向けた具体的な計画を作る。私の目標は、誰も日曜の夜の憂鬱を抱えない世界である」
小児ICUの看護師長なら、誰もがミスをすること、そして現場に最も近い人が最初に危険に気づくという信念から始めるかもしれない。
「私は、どれほど熟練していても誰もがミスをするし、患者に最も近い人が、たいてい誰よりも早く危険を察知すると信じている。小児集中治療では、看護師が指示に疑問を呈することをためらえば、子どもの命を犠牲にしかねない。私は、寄せられた懸念をすべて価値ある情報として扱い、看護師がエスカレーションしたときには、結果的にその懸念が誤りだったとしても彼らを支える。私の目標は、夜勤の最も経験の浅い看護師が、主治医と同じくらい自由に一時停止を求められる病棟をつくることである」
自分のステートメントを作り始めるにあたって、以下の問いを考えてみてほしい。
- あなたの最も大切な3つの価値観は何か。
- それらの価値観と自身の経験から、人についてどのような信念を持っているか。
- ストレス下で、チームメンバーには何が起きるか。
- 最近、チームの誰かのために立ち上がった瞬間はいつか。
- 数年後、業界のシニアリーダーに、今はできない何ができるようになっていてほしいか。
リーダーシップ・ビジョン・ステートメントを軽んじてはいけない。それは、キャリアを受け身で歩むか、周囲からの見られ方を自分で主導するかの分かれ目となる。今週中に下書きを作り、次の1on1で声に出して伝えてみよう。そして、最高の自分らしく聞こえるようになるまで磨き続けてほしい。



