イタリアンラグジュアリーシューズとアクセサリーの代表的ブランドであるサントーニ。人々を感動させるシューメイキングの源泉には、未だ見ぬ美への飽くなき探究心があった。
各国のビジネスパーソンの服装には、各々の国柄が如実に表れるものだ。なかでもその傾向がスーツに並んで顕著なのがレザーシューズであり、英国靴は質実剛健で普遍的。対してイタリア靴は、艶やかでモダンな印象がある。そんな私たちが思い描くイタリアンシューズのイメージを、広く世界に知らしめたといっても過言ではないブランドがサントーニだ。1975年にイタリア靴の聖地といわれるマルケ州コリドニアにて創業したサントーニは、当初より革新的な靴づくりを志向。多彩な製法を駆使し、独創性あふれるモダンなレザーシューズを発表してきた。そんなイタリアの紳士靴を牽引してきたサントーニは、革靴を履くことが幅広い世代に再評価されている今、どのように舵を取るのだろうか。エグゼクティブ・プレジデント兼会長を務めるジュゼッペ・サントーニに聞いた。
経営指針でもある4つの不文律
「サントーニは人、クラフツマンシップ、そして時間が紡いできた“物語”です。私たちは約50年前、美しい靴をつくるという志とともに、企業は世代を超えて受け継がれていくべきという信念をもって誕生しました。私にとってサントーニとは、伝統と革新を融合させる力を体現する存在なのです。そんな私たちにとって、ルーツは非常に重要です。なぜなら、そこにはサントーニならではのアイデンティティと、簡単には再現できないサヴォアフェール(卓越した技術と知見)が息づいているからです。
そんなサントーニをいくつかの言葉で端的に表してくれるのが、私たちが大切にしている4つの基本的な価値観です。それは“Roots and Future(ルーツと未来)” “Artisanal Wonder(職人技が生み出す驚き)”“The Power of Time and Relationships(時間とつながりの力)”、そして“Responsible Innovation(責任ある革新)”です。私たちは“Made in Santoni”というヘリテージに深く根ざしながら、常に未来を見据えています。そこには、私たちが誇るクラフツマンシップと卓越性を追求する文化、そして時間、人とのつながり、お客様との関係を大切にする姿勢が表れているのです。同時に、サントーニらしさを守りながらも大胆に革新し、アイデンティティを失わず進化し続けるという、私たちの責任も示されています。これらは単なるコミュニケーションのためのコンセプトではありません。サントーニという企業をどう経営し、未来をどう見据えていくのか、その指針となる原則なのです」
まずは自社をこう分析するジュゼッペ会長。そこで挙げた4つの価値観からは、ルーツや品質を重視しつつもあくまで未来を見据える、サントーニの革新的姿勢と信念が伝わってくる。そうした未来志向こそが、とかく保守的な紳士靴の世界にとどまることなく、オリジナリティあふれるデザインや独自の製法を生み出す原動力となっているに違いない。では、スニーカーの市場が拡大した現在にはどう対応するのだろうか。
「スニーカーがフットウェア市場を大きく変えたことは間違いありません。どちらもテクノロジーや新しいライフスタイルの登場により、人々のフットウェアに対する考え方そのものが変化しています。しかし私は、それがクラシックシューズの終焉とは思いません。むしろ、市場や消費者の方々が進化したととらえています。現代の人々は快適さを求める一方、自分らしさや品質、さらに心を動かされるような価値も求めている。大切なのは、ラグジュアリーたらしめる本質的な価値を守りながら、現代のライフスタイルに対応するプロダクトを生み出すことなのです」



