ロシア当局は21日、ウクライナ側で傭兵としてロシアとの戦闘に参加したとの容疑で2022年から同国に拘束されていた米国人元教師(74)を釈放したと発表した。
米ミシガン州出身の元教師、スティーブン・ハバードは、ウクライナ側で戦闘に加わったとして告発され、ウクライナ侵攻開始から2カ月後の2022年4月にロシア軍に拘束された。ハバードは2024年、約7年の懲役刑を言い渡された。これを受け、米国務省はハバードが不当に拘束されていると宣言した。家族は容疑を否定しており、米国に拠点を置くハバードの弁護士も2025年、英ロイター通信に対し、ハバードはウクライナの自宅からロシア兵に連行されたものであり、「戦闘や軍事部隊には一切関与していなかった」と述べた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は21日、同国北西部サンクトペテルブルクで米国のスティーブン・ウィトコフ中東担当特使と会談し、ハバードを釈放する意向を伝えた。これに対し特使は「あなたのおかげで、ハバードは家族の元へ帰ることができる」と感謝の意を表明。同大統領の対応を「人道的」と評し、その姿勢に「敬意を表し、称賛する」と伝えた。
米国のドナルド・トランプ大統領は20日、ホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、ハバードの釈放についてプーチン大統領と協議していたことを明らかにした。トランプ大統領は18日、自ら創設したSNSのトゥルースソーシャルへの投稿で、ロシアに対する制裁を見送った自身の決定を正当化しつつ、捕虜解放の合意に向けた協議について言及した。「私は現在、ロシアとウクライナの戦争の和平交渉を進めている。愚かな行動によってロシアを交渉の席から遠ざけるようなことはしたくない。大きな進展が見られており、そこには現在進行中の人質解放交渉も含まれている!」
ハバードは、米国務省が「不当に拘束されている」と認定した、ロシアで拘束中の唯一の米国人だった。外国で拘束された米国人を支援する団体「フォーリー財団」は、ロシア国内で「違法または不当」に拘束されているとみられる米国人が、少なくとも他に5人いると指摘している。米ABCニュースは20日、トランプ政権がロシアの刑務所に収監されている複数の米国人の解放に向けて協議中だと報じたが、ハバード以外にも解放される人物がいるかどうかは現時点では分かっていない。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは、ウクライナ侵攻を終結させるための合意に向け、プーチン大統領がトランプ大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談を11月に開くよう提案したと報じた。プーチン大統領は21日、ウィトコフ特使との会話の中で、中国での会談の可能性に触れた。同大統領は「この件に関して、共有したい考えがある。この危機の解決に向けたトランプ大統領の尽力に対し、感謝の意を伝えてほしい」と述べた。



