経営・戦略

2026.10.21 08:52

変革の真のコストは「何を築くか」ではなく「何を捨てないか」で決まる

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大規模な戦略的イニシアチブの2年目に入るころには、多くの企業における財務上の実態は、当初のビジネスケース(事業計画)とは大きくかけ離れたものになっている。

近代化やエンタープライズAIの導入、オペレーティングモデルの再設計に対する初期の熱狂は冷め、その後に残されるのはコストのかさむ運用上の頭痛の種だ。ソフトウェアの請求額は倍増し、ベンダー契約は延長され続け、現場のチームは四半期の目標を達成するためだけに、相変わらずレガシーなスプレッドシートや手作業の回避策に頼っている。

予定していた利益率の拡大がEBITDAに表れない理由を取締役会が追及すると、経営陣は決まって実行上の摩擦、統合の遅延、ツール導入の障壁、デリバリーのボトルネックを原因として挙げる。

それらは症状にすぎない。根本的な破綻は経営会議のテーブルで起きている。経営陣は新しいケイパビリティを構築するために資本を投じながら、古いものを停止するという困難な運用上の作業を拒んできたのだ。

「追加」の罠

ほとんどの戦略的変革は、コストのかかる「追加」の作業に陥る。

経営委員会が新しいプラットフォームの導入を承認する際、旧来の習慣やツールが自然に消滅することを密かに期待しているものだ。だが、それが自然に消えることは決してない。ワークフローや部門ごとの回避策、既存のベンダー契約は深く根を張っているからだ。

何を直ちに停止すべきかを明示する指示がなければ、組織は保身へと逃げ込む。

• 事業部門はバックアップとしてレガシーソフトウェアのライセンスを保持し続け、テクノロジー支出を倍増させる。

• 現場のチームは2つのシステムを行き来し、日々の業務実行に何時間もの摩擦を生じさせる。

• 現場のリーダーは既存の人員を守ろうとし、新たなケイパビリティに合わせて再編するのではなく、混乱を飲み込んでやり過ごす。

効率的な運用が実現するどころか、企業は結果的に2つの並行するオペレーティングモデルに同時に支払うことになる。費用は積み重なり、業務の停滞は深まり、期待されていたコスト削減は日々の応急処置の中に消え去っていく。

後から訪れる清算

2年目の数字がEBITDA目標の未達を明確にすると、取締役会の忍耐は尽きる。

経営陣は運用上の重複を解きほぐすのではなく、企業における定石の手段、つまり力任せの支出削減へと走る。

裁量的な出張は凍結される。長期的な成長プロジェクトは棚上げされる。人員削減が各事業部門の運用チームを直撃する。18カ月前に経営陣が不都合なトレードオフを回避したために生じた短期的な利益率不足を埋めるため、長期的に事業をスケールさせるために必要な人材やイニシアチブそのものが犠牲にされるのだ。

当初の資本配分の段階で構造的なトレードオフを避けると、後になって必ずより深刻な削減を強いられることになる。

廃止の監査

年次予算サイクルにおいて資本を守るには、経営陣が「何に資金を投じるか」と全く同じ厳格さで「何を停止するか」を評価する必要がある。

2年目の予算更新を承認したり、新たな戦略的賭けに署名したりする前に、経営陣は3つの運用上の現実について明確な回答を得なければならない。

1. 90日目に法的に終了する具体的なワークフロー、システム、契約は何か。

計画が何を構築するかだけを示し、何を解体するかを示していないのであれば、それは変革ではなく追加作業にすぎない。

2. 実現したコスト削減はP/L上のどこに現れるのか。

理論上の効率化は「削減された時間」の中に留まっている限り、何の意味もない。ソフトウェア統合や役割の再編が特定のコストセンターに直接結びついていなければ、利益率の拡大が最終損益(ボトムライン)に反映されることはない。

3. 停止を決断する明示的な権限は誰が持っているか。

新たなケイパビリティの構築は経営陣の注目を集めるが、レガシーインフラの廃止は摩擦を生む。特定のリーダーが停止の実行について直接評価されないのであれば、組織は毎回必ず並行するシステムを運用することになる。

真の戦略は、企業がどれだけ資本を配分したかで証明されるものではない。経営陣が何を捨てる規律を持っているかによって証明されるのだ。

(Forbes.com 原文)

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