地元のカフェでコーヒーを買ったり、美容院で髪を切ったりした際、その場ですぐに支払いを済ませるのが当然である。「支払いは数カ月後になります」などと店主に伝えることなど考えられないはずだ。そんなことを言えば、常識を疑われるだろう。
しかし、企業間取引(B2B)の多くにおいて、これが現実となっている。企業間の支払いは日常的に60日、90日、あるいは120日(つまり4カ月)も先延ばしにされている。
長い支払いサイクルは多くの業界で悩みの種となっているが、サプライチェーンにおいては、とりわけ大きな問題を引き起こしていると私は考える。貨物ブローカーやトラック運送事業者は、私たちが日々頼りにしている必需品を運ぶために絶え間なく働いている。それにもかかわらず、すでに得た対価を受け取るまで数カ月待たされている。
サプライチェーンは経済の屋台骨だ。それを支える企業が期日通りに支払いを受け取れなければ、影響は1社のキャッシュフローにとどまらず、経済全体に及ぶ。
トラック輸送:小規模事業者と長い支払い期間
トラック輸送業界は、極めて薄い利益率で運営されている。また、家族経営の企業や小規模チームが非常に多い業界でもある。米国トラック協会によると、トラック運送事業者の91.5%は保有トラックが10台以下で、99.3%は100台未満で事業を運営している。
巨大なメーカーや小売企業が90日または120日の支払い条件で支払うとき、それは実質的に、小規模で利益率の低いトラック運送事業者に自社の事業運営資金を立て替えさせていることになる。複合企業は、より長い支払い条件によって手元資金を長く保持でき、日々の事業運営に使える資金を確保し、四半期決算を発表する際にバランスシートを堅調に見せることができる。大企業はしばしば優位な立場にあり、小規模事業者が自社に依存していることを理解しているため、より長い支払い条件を押し通すことができる。
この構図は、ここ数年のトラック運送業界にとって特に過酷なものであった。パンデミック後の貨物ブームを経て2022年に始まった長期にわたる貨物不況は、ようやく和らぎつつある。しかし、この3年以上の間、事業コストが上昇する一方で運賃は低迷を続けた。毎年何千もの運送業者が業界を去った。自ら撤退を決めた業者もいれば、やむを得ず廃業した業者もいる。
その間も、支払いサイクルが短縮されることはなかった。運送業者は売上金の回収を待つ間も、ドライバーの人件費、軽油代(近年で最高水準に達している)、保険料、車両の整備費など、あらゆる費用を負担し続けなければならなかった。資金繰りが滞っても、トラックの車輪を止められるわけではないのだ。
キャッシュフローのギャップ
JPMorgan Chase Instituteによると、米国の一般的な小規模事業者が保有する現金は、事業運営のわずか2週間分を賄える程度である。2週間分の現金余力しかない小規模トラック運送会社が、すでに提供したサービスの対価を受け取るまで120日待たされるというのは、危険なほどの断絶である。
支払いサイクルが長くなればなるほど、こうした企業は後れを取っていく。必ずしも何か間違ったことをしたからでも、使い過ぎたからでもない。資金が固定化されているからである。
資金が潤沢にある大企業からの支払いを、真面目に働く運送事業者が待ち続けなければならない光景ほど、歯がゆいものはない。さらに悪いことに、彼らは正当に受け取る権利のあるお金を追及し、催促までしなければならないのだ。
サプライチェーンのイノベーションを阻害する
トラック輸送市場の厳しい現実を生き抜くことに加え、支払いの遅延は、トラック運送会社にとってまったく別のもの、すなわち成長とイノベーションをも阻害する。
運送事業者や貨物ブローカーの流動性が未払い請求に縛られているとき、彼らに事業への投資を期待できるだろうか。手元資金がなければ、輸送管理システム、リアルタイム可視化ツール、AIといった最新技術を導入できない。上級幹部人材を雇用することも、テクノロジーに精通した次世代の人材を採用することも難しくなる。それもまた、事業の前進を妨げる要因になり得る。
さらに、トラックはサプライチェーンの重要な結節点であり、米国の貨物の4分の3近くを運んでいるため、トラック輸送におけるイノベーションの遅れは、サプライチェーン内の他の企業にも連鎖的な影響を及ぼす。運送事業者が可視化ソフトウェアを持っていなければ、荷主企業は自社の貨物の状況をリアルタイムで把握できない。
もし運送会社が、売掛金として資金を何カ月も放置することなく自社の資本に実際にアクセスできたなら、サプライチェーンはどれほど強く、強靭で、技術的に進んだものになるか、想像してみてほしい。
波及効果
トラック輸送業界にいない人でも、これを読みながらうなずいているかもしれない。こうした長期の支払いサイクルは、さまざまな業界で問題になっている。
しかし、サプライチェーンにおいては、利害も結果もさらに大きい。トラックは、私たちが口にする食品を食料品店へ届けている。サプライチェーンは、重要な医薬品を病院や薬局へ届けている。
こうした重要な物資を運ぶ企業が、本来受け取るべき資金にアクセスできないままにすれば、危険なシナリオに直面することになる。私たちが必要とし、望む商品を期限どおりに手に入れられなくなり、サプライチェーン全体のイノベーションも鈍化する。
B2Bの支払いサイクルが60日、90日、120日の条件を前提に構築されてきたからといって、今後もそのままである必要はない。私たちは、ほぼあらゆるものを現代化してきた。支払いサイクルも現代化すべき時だと私は考える。小規模事業者が必要とし、受け取るに値する資金を、できるだけ早く彼らの手に届けるべきである。



