エヌビディアは、人工知能(AI)の計算に使う自社製GPUを導入するデータセンターを支えている。保証や購入・賃借に関する支払い約束は、最大1645億ドル(約25兆9910億円)に上る。2026年7月26日を期末とする四半期の提出書類で明らかになった。AI向けクラウド事業者への直接投資と投資の約束も、合計70億ドル(約1兆1060億円)を超える。
巨額の支援規模が明らかになったのと同じ週に、オーストラリアのGPUクラウド企業FirmusはIPO(新規株式公開)を棚上げし、エヌビディアに追加資金を求めた。GPUクラウドは、AIの計算に使うGPUの処理能力を企業に提供するサービスだ。GPUクラウド大手CoreWeave(コアウィーブ)の社債は、経営上の不安を反映した水準まで値下がりした。マイクロソフトも、英国で計画されていたGPUクラウド企業Nscale(エヌスケール)のデータセンター拠点の利用を取りやめた。
企業がGPUの処理能力を複数年契約で確保する場合、取引先の信用リスクはエヌビディアの財務にもつながる。契約を判断する最高情報責任者(CIO)は、処理能力の価格や性能だけでなく、支援する企業の信用力も精査する必要がある。
約26兆円の保証は、GPUの受注をどう前倒しするのか
エヌビディアによる保証と支払い約束は、総額1645億ドル(約25兆9910億円)に上る。ただし、保証する対象や契約の仕組みは同じではなく、金額にも大きな偏りがある。
最大の項目は、SB Energy(SBエナジー)が米オハイオ州で建設しているOpenAI向けデータセンター群の賃料保証だ。計画は2026年8月に初めて発表された。OpenAIが賃料を支払えなくなった場合、エヌビディアが貸主に支払う。米テクノロジー媒体ジ・インフォメーションによれば、保証額は最大1050億ドル(約16兆5900億円)で、総額の約64%を占める。
残りの支援は3種類に分かれる。エヌビディアがクラウド事業者の売れ残ったGPU処理能力を買い取る約束は、約360億ドル(約5兆6880億円)だ。エヌビディア自身がデータセンターの賃貸借契約を結び、顧客に引き継ぐ仕組みが約200億ドル(約3兆1600億円)。クラウド事業者が自ら結んだ賃貸借契約への保証が約35億ドル(約5530億円)となる。いずれもジ・インフォメーションが報じた金額だ。
売れ残った計算処理能力の買い取りが、融資を後押し
代表例が独立系GPUクラウド最大手のCoreWeaveだ。エヌビディアは、CoreWeaveが他の顧客に販売できなかった処理能力を2032年4月まで買い取ると約束している。売れ残った利用枠にも買い手が付くため、CoreWeaveはGPU設備の稼働率を一定水準以上に保ちやすくなる。GPU購入資金を融資する金融機関は、CoreWeave自身の信用力だけでなく、エヌビディアの支払い能力も融資の裏付けとして評価できる。
エヌビディアにとっても、支援には明確な狙いがある。資金調達に苦戦しそうなクラウド事業者でも、保証があればGPUを直ちに発注できる。エヌビディアは自社の財務力を使い、将来のGPU需要を2026年10月を含む四半期に前倒ししている。巨額の設備投資を伴う産業では、機器メーカーが以前から使ってきた販売支援の手法だ。



