Forbes JAPAN 2026年12月号は、AIで人的資本を拡張している「本当に強い会社」2026特集。今回、Forbes JAPANは東京証券取引所に上場している企業のうち、分析に必要なデータを取得できた3531社を対象に、AIを自社の売上高や利益に結びつける「実装力」を評価する「拡張人的資本ランキング」と、AIやDXへの投資が将来の収益化につながる可能性の高さを評価する「AI/DX先行投資力ランキング」を作成した。AI時代に、「本当に強い会社」とは、どんな企業なのか。上位企業を率いる経営者たちの言葉と具体的な取り組みから、その条件を解き明かす。
Forbes JAPANが今回新たに作成した「拡張人的資本ランキング」で1位に輝いたアドバンテスト。誰もが先を見通せないAIや半導体市場の渦のなかで、戦略的に勝ち続けるための秘訣とは。
撮影の日も、ダグラス・ラフィーバは米カリフォルニアにいた。アドバンテストにとって重要な顧客の多くはシリコンバレーに本社を構えている。AI関連企業のCEOや経営陣と膝を突き合わせ、顧客のニーズと半導体業界の行方を読み解く。これが、Group CEOとして同社を率いるラフィーバのルーティンである。
2年前の秋、Forbes JAPANのインタビューに応じたラフィーバは「多くの出来事が一気に起こり、平凡な1年が素晴らしい年へと一変した」と穏やかな笑みを見せていた。今、彼には平凡な日など1日たりともないことだろう。
「もし私がお客様側のエグゼクティブたちと話をしない週があったとしたら、それは自分の仕事を果たしていないことになります。これはアドバンテストの多くの経営幹部にも当てはまることです」(ラフィーバ)
世界を舞台にAI開発の競争が熾烈を極めるなか、1954年に創業したアドバンテストは半導体が正しく動くかどうかを検査するテスタ(試験装置)の世界最大手であり、AI革命に不可欠なプレイヤーだ。同社の収益のドライバーは、演算や制御、通信など複数の機能をひとつのチップ上に集積したSoC(System on Chip)のテストシステムと、データを記憶するメモリ集積回路のテストシステムにある。同社が手がける半導体テスタは、NVIDIAをはじめとする世界中の主要な半導体メーカーに採用されている。
Forbes JAPANでは今回、東京証券取引所に上場している企業のうち、分析に必要なデータを取得できた3531社を対象に「拡張人的資本ランキング」を作成した。人的資本やAI・DXへの投資額そのものではなく、それらを生産性や顧客価値の向上、業績など「稼ぐ力」に転換している企業を順位づけしたものだ。このランキングで1位になったのがアドバンテストである。
「ランキング上位の企業に共通するのは、人的資本関連の要素と、生産性やAI・DXの導入成果などの要素を接続できている点だ。なかでも、アドバンテストは市場の成長を取り込む力に加えて、従業員一人当たり売上高や付加価値の高さが際立っている」。ランキングを手がけたサステナブル・ラボCEOの平瀬錬司は、同社が高評価を獲得した理由をこう説明する。



