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北米

2026.10.21 16:15

日本がオンチェーン金融で「デジタル敗戦」を繰り返さないために|渡辺創太

オンチェーン金融で世界をリードする米国で、9月15日、暗号資産市場のルールを定める法案が、上院で審議入りを阻まれた。この事実は何を意味するのか。そして、日本が米国に後れを取っている本当の理由はどこにあるのか。Startale Group CEO渡辺創太による連載「オンチェーン金融最前線」第2回。金融変革の真っただ中にあるニューヨークから、米国の最新動向と日本の課題の本質を読み解く。


今回はまず、オンチェーン領域におけるアメリカのダイナミクス(力学)について整理したい。直近で最も重要だったのは、クラリティー法案(Digital Asset Market Clarity Act)の成否をめぐる動きだ。この法案は「CLARITY」という名の通り、これまで曖昧だった暗号資産の法的な位置づけや当局の管轄を明確化し、包括的な規制の枠組みを整備することを目的としている。

これまで米国の暗号資産市場では、デジタルコモディティー(金や原油のようにコモディティー=商品として扱われるデジタル資産)とデジタルセキュリティー(株式などと同じく証券として扱われるデジタル資産)との境界線が曖昧であった。トークン分散化の度合いや分散型金融(DeFi)、ステーブルコインの利回り配布などについて明確な線引きや判断基準が存在しなかったため、大きな混乱やイノベーションの停滞が発生していた。

例えば、ビットコインのように十分に分散化したネットワークのトークンは、コモディティーとしてCFTC(商品先物取引委員会)の管轄となるが、中央集権的な発行体や管理組織が存在するトークンは、証券としてSEC(証券取引委員会)の管轄となる。しかし、何をもって分散化とするか定義されていないため、SECとCFTCの線引きが曖昧になっていた。

アメリカで法案が連邦議会において可決され、法律になることは重要な意味をもつ。政権が替わっても容易には変えられない、持続的なルールになるからだ。ご存じの通り、米国では共和党と民主党の二大政党が政権を争っている。現在は上下両院とも共和党が多数派だが、2026年11月3日の中間選挙では、両院ともに民主党が過半数を奪取するとの見方が強い。予測市場のKalshiやPolymarketでは、民主党が過半数を獲得する確率が上院で6割、下院で9割を超えている(26年10月12日時点)。

出典:https://kalshi.com/category/elections/midterms
出典:https://kalshi.com/category/elections/midterms

このクラリティー法案は9月15日、上院で審議入りを決める手続き上の採決が、49対50で否決された。上院で審議入りするには60票の賛成が必要であり、53議席の共和党だけではそれに届かないため、民主党の協力が不可欠だった。しかし実際には、民主党側のほぼ全員に加え、共和党議員4人が反対票を投じた。

反対の理由として多く挙げられたのは、トランプ大統領とその一族が暗号資産で多額の利益を得ているなか、大統領や議員が政治的な立場を利用して不当な利益を得ることを防ぐ倫理条項が不十分だというものだ。

しかし、トランプ大統領は採決直前に倫理条項の大部分に同意したと報じられ、民主党側の要求の多くはすでに法案へ反映されていた。そのため業界では、前述の反対理由は表向きにすぎないという見方も根強い。中間選挙まで1カ月となり、共和党の得点になる法案を通したくないという民主党側の政治的な判断も働いたとみられている。仮に中間選挙で民主党が勝利した場合、現在のかたちでクラリティー法案が成立するのは極めて難しいと、業界関係者の多くが予想している。

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文=渡辺創太

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