Forbes JAPAN 2026年12月号の第2特集は、規模は小さくても高い付加価値を誇る中小企業を表彰する「スモール・ジャイアンツアワード」。今回で第10回の節目を迎えた。「グローバル市場の開拓」「地域への貢献」「稼ぎ続ける力」を基準に選ばれてきた受賞企業は、これまで日本経済再生の担い手として語られることが多かった。だが、今回の受賞企業7社が示したのは、それにとどまらない可能性だ。インフラの老朽化、環境問題、人口減少……。社会が抱える難題を解く「切り札」としての力である。中小企業ならではの人的資本経営をたたえる「LOVED COMPANY賞」の2社とあわせ、未来を変える「小さな大企業」の挑戦を追った。
ソーシャルレジリエンス賞 ジオ・サーチ(東京都大田区)
道路下の空洞を、車で走りながら見つけ出す──。ジオ・サーチは、地下を透かして見る独自の「透ける化」技術で道路陥没を防いできた。路面下空洞調査の国内シェアは9割を超える(2025年度の技術評価型の業務受注件数ベース)が、代表取締役社長の雑賀正嗣は「まだまだ、これから」と言い切る。地雷原で磨かれた技術を武器に、同社はいま「Gensai Tech(減災テック)」として世界の共通語にしようとしている。
2025年1月、埼玉県八潮市で大規模な道路陥没事故が起きた。国は同様の大規模な下水道をもつ7都府県に緊急点検を求め、そのうち6都府県を任されたのがジオ・サーチだ。報告期限はわずか1週間。それでも同社は、1600kmに及ぶ調査をやり切った。国内外で高く評価される同社の空洞調査技術は、実は地雷原で磨かれたものだった。
同社のビジネスを一言で表すなら、「インフラの内科医」だ。道路下の情報を取得するテクノロジーと、そのデータを解析して空洞を見つける“診断”。この2つを組み合わせて、道路陥没事故を未然に防ぐ。
コアとなるのが、「透ける化」技術だ。地表から地中に向けてマイクロ波レーダー「GPR(Ground Penetrating Radar)」を照射し、空洞を探し出す。現地調査は、GPRを搭載した自社開発の路面下空洞探査車「スケルカー」で行う。道路を走行しながら、道路下3mまでの情報を取得できる、いわば「走るCTスキャン」だ。
売り上げの9割は国や自治体の仕事で、内訳は直轄国道の調査が約4割、都道府県や市町村の調査が約5割を占める。陥没の可能性が高い場所を示す「空洞ポテンシャルマップ」の作成や調査計画の策定も手がけ、「どこを、どの順番で調べるか」というコンサルティングから実際の調査までを一貫して引き受けられるのも強みだ。



