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2026.10.20 07:22

デジタルが豊かになるほど希少な「モノ」が輝く:AI時代のコレクション論

Adobe Stock

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ファミリーオフィスのアドバイザーとして仕事をする中で、私は顧客から、一見無関係に思える2つのテーマについて頻繁に質問を受ける。1つは情熱資産(パッション・アセット)の複雑なコレクションをどう管理するか、もう1つは人工知能(AI)の時代にどう備えるかである。最近、この2つのテーマは当初思われる以上に関連していることに気づいた。AIの台頭は、物理的資産のコレクターに大きな影響を及ぼし、今後数十年にわたりコレクティブル市場を形づくることになる。

希少な物理的資産の魅力は高まる

私たちはデジタルの豊かさの時代に入りつつある。かつては想像もできなかった知識がボタン1つで手に入り、その知識を活用すれば、以前なら多大な時間と人手を要したものを迅速に構築できる時代である。

1650万ドル(約26億1000万円)の「ポケモン ピカチュウ・イラストレーター」カードを購入したAJ・スカラムッチは、AIによって人間は自己実現に費やす時間をより多く得ることになると考えている。「人間が自己実現をし、希少性から解放された後、何をするのか。趣味を持つのだ」とスカラムッチは私のポッドキャストで説明した。「私の仮説は、投資価値の多くがそうした領域、つまり自己実現の領域、とりわけ希少な資産が存在する領域に蓄積していくというものだ」

世界有数のベンチャーキャピタルでさえ、この変化を認識し始めている。例えばThrive Capitalは最近、恒久資本持株会社Thrive Eternalを立ち上げた。同社はテック企業に投資するのではなく、「テクノロジーでは複製できない特性を持つ資産」に特化して投資し、文化的共鳴を通じて価値を複利的に高める象徴的なフランチャイズや文化機関を追求している。このビークルの最初の投資先はサンフランシスコ・ジャイアンツだった。価値あるコレクティブルは、スポーツフランチャイズと同じ性質を多く共有している。ただし規模はより小さい。希少性と文化的共鳴がまれに結びつくことで価値が高まるのである。

デジタル能力がコモディティ化すると、追加的な価値は文化的価値を持つ希少な物理的資産へと移行する。鑑定者と偽造者の間で軍拡競争が起こるだろう。

鑑定はすでにAIの支援によって改善されつつある。AIは、人間の目では見落としがちなパターンや不整合を認識する。主要なトレーディングカード鑑定会社は、自社プロセスにAIを組み込んでおり、時間の経過とともに、AIは鑑定・グレーディングサービスにおいてより大きな役割を担うようになると私は考えている。

しかしAIは、より優れた鑑定を生み出す助けになる一方で、悪意ある者がより精巧な偽造品を作る手助けにも必然的になる。偽造品そのものの製造に関与し得るだけでなく、真贋証明書、来歴を示す書簡、写真など、偽の証拠の作成にも悪用される可能性がある。こうした不正行為はすでにアート市場で発生しており、スポーツ記念品市場にも悪意ある者が押し寄せている。ある事例では、試合で着用されたとされるマイケル・ジョーダンのジャージーの鑑定を得るために、写真が改ざんされた。AIは、こうした企てをより説得力のある形で実行することを容易にするだけだ。

したがって鑑定者は、敵対者の一歩先を行き続けなければならない。今後押し寄せる不正な提出物の集中砲火に備え、自らの能力に投資する必要がある。コレクティブルの世界全体で信頼はこれまで以上に重要になり、高額品の鑑定コストを押し上げる可能性がある。

人間味あふれる「来歴」がさらに重要になる

信頼がこれまで以上に重要となる時代において、検証可能で隙のない来歴の連鎖は極めて大きな価値を持つ。資産がどこにあり、空白がないかを知ることは、完全性が損なわれる可能性を最小限に抑える。しかし、おそらくそれ以上に重要なのは、来歴における人的側面が、さらに大きな価値と意味を伝えるようになることだ。

AIによって説得力のある合成情報を作ることが容易になるにつれ、すべての来歴の連鎖を信頼できるわけではなくなる。しかし、その来歴に信頼に足る人的側面がある場合、それを信じる力は高まる。例えば、音楽界の象徴的人物の長年のマネジャーや家族が所有していた品、あるいは選手本人やチームメートから直接渡されたジャージーなどである。こうした品々が市場の頂点に上り詰めることになる。

同様に、収集コミュニティの中で尊敬されている信頼できるコレクターが所有していた品にも、追加的な価値が蓄積する。ほかのコレクターは、その人の審美眼、真贋を見極める目、そして誠実さを信頼する。シームレスなデジタル取引と無限のデジタル記録の世界では、人間味のある要素は現在以上に大きな意味を持つようになる。

市場はより効率的になる

近年、価格設定ツールやデータベースは成熟してきたが、AIが膨大なデータと情報を取り込み、適用する能力は劇的な改善をもたらす。はるかに正確なリアルタイム価格推定を可能にし得るさまざまな入力情報を考えてみてほしい。オークション結果、個体数レポート、マクロ経済データ、ソーシャルメディア上のセンチメント、出品状況、画像、コンディションレポートなどである。これはまだ表面をなぞったにすぎない。

突然、価格設定ツールは、文脈を伴わずに直近5件のオークション販売結果をただ吐き出すだけのものではなくなる。むしろ、対象資産がコンディションや見た目の訴求力においてそれらの販売品とどう比較されるのか、それらの販売以降に市場がどう変化したのか、経済がどう動いたのかなどを理解するようになる。

その情報は、出品を検討する所有者と入札者の双方に容易に入手可能となる。熟練のコレクターにとっては、次の点は残念に映るだろう。容易な裁定取引の時代は終わる。情報の非対称性、コレクティブル市場の分散した性質、市場の流動性の低さは頻繁に価格の歪みを生み、目利きのコレクターが望ましい資産を割安に取得することを可能にしていた。しかし情報ギャップが消える世界では、そうした機会の多くも消える。

その反面、市場の効率性が高まり、入手可能な情報を反映する能力が向上すれば、新たなコレクターや投資家にとって参入障壁は下がる。より効率的な市場では、これらの資産が金融商品化され、投資可能な対象となる余地が高まる。

AIの時代はすでに到来している。このデジタルの豊かさの時代に、私たちは物理的な希少性をいっそう大切にするようになるかもしれない。その変化は、はるかに洗練されたコレクティブル市場を生み出すだろう。そこでは真正性が渇望され、市場は効率的に振る舞う。しかし、その市場の根底で最も大きな価値を蓄積するのは、最も魅力的で、深く人間的な物語を語る資産である。

ここで提供される情報は、投資、税務、金融に関する助言ではない。個別の状況に関する助言については、資格を有する専門家に相談すべきである。

(forbes.com 原文)

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