経済・社会

2026.10.19 17:15

パレスチナの記憶を伝える映画『ガザにてハサンと』『フィダーイー・フィルム』

パレスチナ映画「ガザにてハサンと」の一場面。提供:山形国際ドキュメンタリー映画祭

パレスチナ映画「ガザにてハサンと」の一場面。提供:山形国際ドキュメンタリー映画祭

パレスチナ映画「ガザにてハサンと」と「フィダーイー・フィルム」が、17日から新宿K’s cinema(東京都新宿区)などで開かれている「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京2026」で上映される。両作品を手がけたパレスチナ人のカマール・アルジャアファリー監督は、「ガザにてハサンと」について、「(イスラエル軍による攻撃で)今は存在しない場所への旅を描いた作品だ」と語る。

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アルジャアファリー監督は昨年、「ハサン、ガザ、2001」というメモをつけた古い録画テープを見つけた。自分もテープの存在をすっかり忘れていたという。再生すると、案内人のハサンとともに、2001年当時のパレスチナ自治区ガザを旅する監督自身の姿があった。1989年に出会った同じ年齢のラヒムを捜す旅だったことを思い出す。監督は「人々の暮らしの映像を共有したいと思った。基本的に撮影されたままの映像を使った」と語る。
 
2001年当時のガザの映像の中には、ガザの様々な記憶が残されている。「トウモロコシ4本で5シュケル」という言葉が飛ぶ市場や海岸で無邪気に遊ぶ子どもたち、プラスチックの椅子に座ってたばこを吸いながらカードゲームをする男たちの映像などが登場する。

一方、イスラエル軍によって破壊されたがれきの山や粗末なテント。銃弾の跡が残るビルの残骸なども映っていた。前夜の砲撃について「生きた心地がしなかった」と語るパレスチナ人の女性、屋根を突き破って落ちてきた砲弾の破片を見せる少年もいた。

映像に、アルジャアファリー監督の「我々は看守がいない監獄に入れられる」「ガザは世界最大の監獄だ」というナレーションが重なる。監督は「ラヒムには会えなかった。ハサンの自宅があるハンユニスの地区もほぼ完全に破壊されてしまった。ハサンがどうなったのかも分からない」と語る。

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一方、「フィダーイー・フィルム」は第1次中東戦争が起きた1948年以前の映像や、1982年のベイルート侵攻時にイスラエル軍がパレスチナ研究センターなどから持ち去った静止画や動画を再構成した。監督は「盗まれた資料の痕跡を映像によって再現し、パレスチナの歴史を語ろうとした。繰り返される暴力のパターンを表現している」と話す。
 
アルジャアファリー監督は「イスラエルは今も爆撃し、人々を殺している。誰かが止めなければ、この『(パレスチナを)消し去る戦争』はさらに悪化するだろう。やめさせなければならない」と語った。

「ガザにてハサンと」は23日午後と11月3日午後、「フィダーイン・フィルム」は11月3日午後、それぞれ新宿K’s cinemaで上映される。 

文=牧野愛博

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